𝜅𝜅𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚=𝐷𝐷𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚−𝐷𝐷0𝐷𝐷0率げ広口界限xamκ管36010.90.80.70.60.50.40.30.20.10(2)設定することによって,成形限界が向上する一方,γが小さいと割れが生じやすくなる傾向を示した2).これは,γが小さいと,溝のサイズの増加にともなって,溝部にて生じるたわみが大きくなるため,繰り返し曲げ・曲げ戻し変形による割れが生じやすくなるためである.一方,溝部の大きさは,γだけではなく,ncによっても変化する.例えば,γが等しい場合においても,ncが増加すると,1つあたりの溝のサイズは小さくなる.そこで,高い成形限界を得るにあたって適正な逃げ有りパンチ形状を明らかにするため,本研究では,逃げ角φおよび逃げ溝数nrが成形限界に及ぼす影響を調査した.図2に,実験の様子を示す.回転させた管材に逃げ有りパンチを押し込むことによって,加工を行った.加工条件を表1に示す.パラメータとして,逃げ有りパンチのφおよびnrを変化させた.これらのパラメータの変化にともなって,合計接触角γも変化する.φおよびnrが成形限界に及ぼす影響を調査するため,成形不良が発生するまでパンチを押し込み,以下の式から限界口広げ率κmaxを求めた.ここで,Dmaxは不良なく加工可能であった最大の口広げ部先端の外径である.口広げ部先端の外径はパンチを1 mm押し込むごとに計測し,不良が確認された押込み量の1 mm前の口広げ部先端外径をDmaxとした.逃げ角φおよび逃げ溝数nrが成形性に及ぼす影響について考察するため,有限要素法(FEM) 解析を行った.解図2逃げ有りパンチを用いた回転口広げ加工実験表1逃げ有りパンチを用いた回転口広げ加工条件パンチ半角α/ °逃げ角φ/ °逃げ溝数nr合計接触角γ/ ° 送り速度f/ mmrev-1回転数N/ rpm材質初期外径D0/ mm初期肉厚t0/ mm潤滑(実験)摩擦係数(FEM)回回転転チャック送送りりパンチ析には,有限要素法汎用ソフトウェア”Elfen”(RockfieldSoftware社,Swansea,英国)を使用した.3次元モデルを使用し,動的陽解法にて解析を行った.管は弾塑性体,パンチは剛体とした.■・ 逃げ角φおよび逃げ溝数■■の影響図3に,逃げ有りパンチを用いて加工した成形品の外観を示す.逃げ有りパンチを用いて加工した場合,いずれの条件においても管端部にて割れが発生した.一方,割れが発生するまでの拡管量は,逃げ角φや逃げ溝数nrによって変化した.逃げ溝がないパンチを用いた際は,座屈が発生した.図4に限界口広げ率κmaxに及ぼす逃げ角φの影響を示す.φ = 20°の条件にて,κmaxは最大となった.また,φ= 30°の場合,nrが小さい方がκmaxは大きくなった.以上の結果より,適正な逃げ角φは,20°程度であることが明らかとなった.■・■口広げ部における周方向応力σθFEM解析にて,加工時における応力状態を調査した.図5に,パンチが1回転する間に生じた口広げ部先端の周方向応力σθの変化を示す.逃げ角φ= 20°の場合,接触部においては外径側,内径側ともに,引張のσθが生じており,周方向に伸ばされていることがわかる.一方,溝を通図3逃げ角φおよび逃げ溝数nrが成形品外観に図4限界口広げ率κmaxに及ぼす逃げ角φの影響(実験)及ぼす影響合計接触角γ/ °120, 20, 30, 60, 900, 2, 3, 6180, 300, 3600.1140A1070301プレス工作油G-3344(日本工作油株式会社)0.1(i)nr= 2φ= 90°(ii)nr= 3φ= 60 °(a) γ= 180°(iii)nr= 6φ= 30°(i)nr= 2φ= 30°180300360 (溝無し)2040逃げ角φ/ °60接触面数n240 mm(ii)nr= 3φ= 20°(b) γ= 300°(iii)nr= 6φ= 10°80100− 179 −
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