天田財団_助成研究成果報告書2024
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AF-2020002-A3重点研究開発助成 課題研究AF-2020003-A3重点研究開発助成 課題研究塑性加工高強度鋼板,プレス成形,遅れ破壊hojo@imr.tohoku.ac.jp水素エネルギー,超高純度水素製造水素分離合金膜,水素膨張,極薄板深絞り加工yukawa@nagoya-u.jp東北学院大学 工学部機械知能工学科 准教授名古屋大学 大学院材料デザイン工学専攻 准教授北條 智彦湯川 伸樹− 16 −塑性加工塑性加工プレス成形した超高強度低合金TRIP鋼の遅れ破壊特性評価技術の確立大型水素分離合金膜の形状最適化および成形技術の開発冷間プレス成形された1500 MPa級自動車用超高強度鋼板の遅れ破壊特性評価,および遅れ破壊挙動の調査を行った.U曲げボルト締め試験片はU曲げ頂点部付近で遅れ破壊が発生した.U曲げ加工後のU曲げ試験片頂点部の板厚中央部では高い引張の弾性ひずみが,曲げ外側では圧縮の弾性ひずみが存在し,U曲げ頂点部に1000 MPaの応力を付与すると,U曲げ外側は引張の弾性ひずみに変化した.穴広げ試験片は穴縁から少し離れた位置でパンチ打ち抜き穴と同心円状に遅れ破壊き裂が発生した.穴広げ試験片は穴縁からわずかに離れた位置のパンチ接触側で高い引張の弾性ひずみが発生した.張出し試験片は張出し加工部の裾部付近で半径方向に遅れ破壊き裂が発生,進展した.張出し試験片は張出し加工部の裾部付近で高い引張の弾性ひずみが発生した.いずれのプレス成形試験片も,プレス成形によって発生した引張の応力が作用した位置で遅れ破壊き裂が発生したと考えられた.超高純度水素を分離・精製するために,平膜のV系水素分離合金膜が開発されているが,膜を大型化すると固溶水素による格子膨張等により発生するしわを起因として割れが生じるという問題があった.本研究では水素透過時において合金膜に生じる変形や応力分布に及ぼす合金膜の形状,支持構造の影響を有限要素解析を用いて調査し,合金膜の初期形状を2次側方向に深さをもつ皿型形状にすることにより,水素透過中の過度な変形を抑制することができることが分かった.またそのような形状に極薄板である合金膜をしわなしに成形する押え板を用いた深絞り加工法を開発した.成形した水素分離合金膜を用いて繰り返し水素透過試験を行い,従来の平膜形状合金膜に比べ大幅な耐久性の向上が確認できた.

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