FEM解析の結果を用いて,本装置では測定できないガイドローラに作用する力の推定を行い,本研究で用いる 以下に,曲げすべり試験の摩擦係数の算出方法を示す. 用する引抜き方向の荷重をTr,力(引抜き荷重)T1,逆張力(背圧)T2,Swift張力Tb,接触角α,摩擦係数μとして,本研究で用いる摩擦係数の導出式を以下に示す.ただし,TrとTbの導出については後述する. 3.4 解析方法及び試験条件 摩擦係数導出式の検証を実施する.曲げ工具と試験片のクーロン摩擦をμ=0.1~0.7で設定し(ガイドローラと試験片はμ=0.1で固定),解析では試験片の長さは200mmとし要素サイズは0.375mmとした.曲げパンチの先端Rを10mm,ガイドローラ径は30mm,ローラ間距離は56mmである.パンチ接触角αは60°とした.引抜き速度を10mm/s, 背圧を0.6kN(20MPa), 0.9kN(30MPa)とした.エステル系潤滑剤は工具に0.7mg/mm2程度塗布をした. 4.結果と考察 4.1 摩擦係数導出式の確認 図7にμ=0.1(左図),0.6(右図),背圧0.6kNでのローラ,パンチ鉛直方向荷重の解析結果,図8に摩擦係数と左右ローラに作用するZ方向(鉛直方向)荷重の比率(P/P+Q)の関係を示す.図7より,摩擦係数の増加に伴い右ローラに作用するZ方向(鉛直方向)荷重が増加することが確認できた.また図8より,摩擦係数の増加に伴い左右のローラ荷重比も線形増加することが確認できた.よって,ガイドローラに作用する荷重は摩擦係数に依存することが分かった. た後,試験片の両端を引抜き方向と背圧方向のチャックに設置する.③冷間状態で試験片を曲げ,④工具と試験片が接触しない状態で,再度試験片を加熱した.⑤加熱終了後,電源を切り,400℃まで冷却し,後方張力付与,加圧(ガイドローラを下降),水平前方へ摺動の順で試験を行う.加工中の引抜き荷重とプレス荷重の測定と摩擦係数の算出を行った.また,摩擦係数の導出式の確認やガイドローラによる曲げの影響を調査するためにSimufact.FormingによるFEM解析も行った. 3.2 A7075の温度分布 図4に簡易溶体化処理中の温度測定箇所,図5にA7075の温度分布を示す.加工場所であるAとBでは均一に加熱されていることが確認できた。 図4 温度測定箇所 図5 A7075の温度分布 3.3 曲げすべり試験の摩擦係数の算出 図6に曲げすべり工具にかかる荷重を鉛直・水平方向成分で示す. 図6 曲げすべり工具に作用する力 本研究では,ガイドローラを用いた曲げすべり試験を行うためローラにかかる荷重を考慮する必要があると考えた.よって,Sahaの式3)から出側ローラに作用する引抜き方向の荷重を引くことで摩擦係数の導出を行った.ローラに作図7 ローラの鉛直方向荷重の変化 図8 摩擦係数とローラ荷重比の関係 − 174 −■■2■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■1■
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