4.結言 湿式めっき・ガス浸炭複合法により施工されるWC-Ni硬質皮膜の,プレスせん断金型への適用による金型長寿命 年3月 謝 辞 参考文献 (2) 上記の皮膜施工条件を適用し施工したWC-Ni硬質皮膜付加ショルダーパンチ試験片を用いた連続打抜き試1) 新素形材産業ビジョン,(一社)素形材センター,20132) 型技術,[特集]欧州の金型・成形技術動向,日刊工業3) 高硬度・耐磨耗性部材および高硬度・耐磨耗性部材のまで見られなかった硬質皮膜の部分的欠落が確認された.これは,基材面取り部除去のため端面の平面研削を行なったことにより,側面皮膜に連続打抜き試験のせん断負荷が直接作用したためと考えられる. 本研究で得られた上述の知見に基づき,連続打抜き試験に適用するWC-Ni硬質皮膜における今後の施工指針として以下の各項目を得た. ・WC結晶の形成量および配向の制御:連続打抜き試験によるせん断負荷への耐久性向上 ・硬質層膜厚の最適化:同上 ・Fe-Ni母相の強度向上:同上 ・めっき時残留応力およびガス浸炭時内部応力の低減:皮膜剥離防止(=面取り無基材での施工可能性向上) 化を主たる目的として研究を行った結果,以下の結論を得た. (1) 連続打抜き試験用試験片基材であるSKD11ショルダーパンチに対するWC-Ni硬質皮膜の施工条件を探索した結果,めっき施工後および熱処理後での剥離発生を抑制可能な皮膜施工条件を確立した. 験を実施した結果,目的とした金型長寿命化は達成できなかったが,連続打抜き試験に適用するWC-Ni硬質皮膜における今後の施工指針を得た. 本研究は,公益財団法人天田財団からの一般研究開発助成(AF-2021007-B2)により実施した研究に基づいていることを付記するとともに,同財団に感謝致します. 新聞社,2019年3月 製造方法,特願 2020-187486 30分に延伸した.まためっき施工後の皮膜損傷対策が進んだことから,基材エッジ部面取りをC0.5からC0.3に変更し,試験片-2と同様に連続打抜き試験前に面取り部を除去した.試験前の試験片エッジ部のSEM観察画像を図7(a)(b)に示す. (a) 40倍 (a) 小規模損耗部・40倍 (b) 小規模損耗部・250倍 (c) 部分的欠落部・40倍 (d) 部分的欠落部・250倍 図7 ショルダーパンチ試験片-3 試験前観察 ショルダーパンチ試験片-3を試験装置に装着し,表2に示す試験条件で連続打抜き試験を開始したところ,打抜き回数100回経過時点で打抜き欠落部のバリ高さが2倍に増加したため試験を中断した.図8(a)~(d)に示した試験後の試験片エッジ部のSEM観察画像から,皮膜の小規模な損耗や部分的欠落が見られたことも考慮して,本試験片の皮膜耐久性を「100回」と評価した. 図8 ショルダーパンチ試験片-3 試験後観察 3・5 本研究のまとめ 表4に連続打ち抜き試験結果(皮膜耐久性)をまとめて示す.本研究で作製した3種のショルダーパンチ試験片においては,目的とした金型の長寿命化を達成することはできなかった.その原因として,皮膜硬度を担保するWC結晶形成量の不足とともに,WC結晶を保持するFe-Ni母相の強度不足と推察される.また試験片-3においては,これ(b) 200倍 shoulder punche -1shoulder punche -2shoulder punche -3specimenNumber of punching表4 連続打抜き試験結果 1000500100− 172 −
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