[mm]88129.7216.95.02~5.073.85~3.922.6~2.71肉厚[mm]硬さ[HV]34602684――3.結果と考察ちシミュレーションにより検討した.図5にシミュレーション結果を示す.シミュレーションには図3に示した材料パラメータを使用した.押し込み速度は1 mm/sである.図5シミュレーションの結果:各工程での最大トレスカ応力は,それぞれ■■ ,■ ■■■■となった.シミュレーションは日本ニューロンが行った.実際に使用した液圧成形機を図6に,成形した銅パイプを図7に示す.液圧成形機は縦方向に圧縮する.流体は水である.シミュレーションを基に決定した,ストロークと水圧の関係(負荷経路)を数値データとして,液圧成形機に入力することで,自動的に成形できる.成形時間は各工程2分程度である.工程で変化した特性値を表1に示す.成形により肉厚は減少し,中央部は1工程後に3.9 mm,2工程後に2.6 mmとなった.実験において破裂したパイプは,肉厚のばらつきが大きいものが見られた.今回は肉厚のばらつき(最大値-最小値)が0.1 mm以下になるように特別に製造したパイプを使用した.本成形では非常に大きく膨らませるので,材料の伸びも大切であるが,それ以上に肉厚のばらつきを小さくすることが重要である.金型図6液圧成形機(日本ニューロンの厚意による)図7成形した銅パイプ:上段・素管,中段・1工程後のパイプ,下段・2工程後のパイプ,成形によりパイプの全長が短くなっていく様子がわかる.工程成形による加工硬化により硬さが高くなる.1工程後の焼鈍により初期状態以下に硬さが戻っている.2工程は大きく膨らませるために加工硬化が大きく,1工程後よりさらに硬さが高くなる.切断した空洞内面を図8に示す.成形前のパイプ内面の長手方向の表面粗さは1.0 µmRaである.成形後のセルの大径部(赤道と呼ぶ)は2.9 µmRaである.肌荒れの少ない良好な仕上がりとなった.また肉厚分布が発生し,赤道部が最も薄くなった.キャリパで測定した肉厚の測定結果を図9に示す.長手方向55 mmあたりがアイリス部である.加速空洞は内面形状が重要であり,肉厚分布をあらかじめ予想して金型形状の設計を行う必要がある.シミュレーションにより求めた肉厚を合わせて示す.成形の最終段階では,パイプと金型が接触した状態で形状が変化する.そのため,シミュレーションと実際の形状を合わせるためには,適切な摩擦係数を与える必要がある.摩擦係数=0と0.2の場合の結果を示す.=0.2の場合の方が,実測値に近い結果を得られた.をさらに大きくしても,赤道部表1各工程における特性値全長[mm]初期状態499.61工程後450.1焼鈍後―2工程後371外径(中央)− 162 −
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