天田財団_助成研究成果報告書2024
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■■■■■ 銅はニオブより成形性が良いが,液圧成形でこれほど大き ・■■液圧成形の工程■■本のパイプを一気に空洞形状に成形する方法を試したが難しいことがわかり,図4に示す 工程による成形を発案した. 種類の金型を用意し,液圧成形のみで仕上げる.使用した液圧成形機は立型のため,パイプと金型は縦方向の配置となる.一方の金型の底部を固定し,他方の金型を押し込む,従来は,アイリス部のくびれ加工が必要であるが,これを廃して工程を簡素化した.くびれ加工はアイリス一か所ずつ加工するので時間がかかる.くびれ加工が無いと生産性の大幅な向上が期待できる.まず外径■■■㎜の銅パイプの中央を■■■■■■程度に膨らませ,次に金型を交換して,最終形状の ■■■■■程度まで膨らませる.■工程と 工程の間には,伸び性を回復するために■■■℃× 時間の真空焼鈍を行う. く膨らませる工業的な例は見当たらない.ここでは,周長で2.4倍伸ばす必要がある.近年,液圧成形の過程をコンピュータで精度よくシミュレーションできるので.どのような条件で成形すればうまく膨らむか,実際の成形に先立は,さらに左右のビームパイプとセルの間の溶接継ぎ目も無くして■個である.液圧成形を容易にするために,セルの小径部(アイリスと呼ぶ)より径の大きなパイプを用い,予成形としてアイリス部のくびれを作ってからセル形状に膨らめる工法が取られていた.そのため,成形後にアイリス部で切断して,ビームパイプを溶接する必要があった.■今回,溶接を廃し,工程を簡素化できるff■■を実現した.これをフルシームレス空洞と呼ぶ.■■図2■1セル空洞の構成部品■ ・ ■銅パイプ■試作した1.3 GHz 1セル空洞の素管であるシームレスパイプは,外径88 mm,肉厚5 mmである.材質は無酸素銅(JIS C1020)である.純度は99.98%,引張強度219 MPa,伸び67%,硬さ34 HVである.電子管用無酸素銅C1011という高純度の材料もあるが,ここでは通常の無酸素銅を用いた.JIS■H3300にシームレス銅パイプが規定されており,4 m程度のパイプを国内で複数社から調達可能である.使用したパイプは引き抜きにより製造された.銅パイプは工業的に流通しているので,ニオブパイプと比べるとコストは1/65以下である. 後述するシミュレーションでは,材料パラメータを与える必要がある.パイプを展開して引張試験片を切り出し,■■■℃× 時間の真空焼鈍を行った後に引張試験を行った.図3に示す真応力―真ひずみ線図を求め,硬化指数nを算出した.■図3■銅の真応力―真ひずみ線図■図4■フルシームレス空洞の製造工程 − 161 −

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