天田財団_助成研究成果報告書2024
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を示している.これに対して図3に示した格子ひずみ発達のみをフィッティング対象とした場合は,図3(b), (c)の格子ひずみ発達は,いずれも実験と計算が良く一致している一方で,図3(a)の応力-ひずみ挙動の計算結果は0.3%以降の加工硬化挙動が十分に再現されていない.図3格子ひずみ発達のみを目的関数としてパラメータ同定した結果.(a) 応力-ひずみ挙動.(b) α-Mg相および(c) LPSO相の格子ひずみ発達.図4は,応力-ひずみ曲線と格子ひずみ発達の両方をフィッティング対象とした結果を示しており,図4(a)の応力-ひずみ曲線の実験と計算がよく一致していることに加えて,図4(b), (c)に示した格子ひずみ発達についても図3(b), (c)と同程度によい一致を示している.ただし,応力-ひずみ曲線と格子ひずみ発達の両方を目的関数に取り入れる場合は,その重み付けに任意性がある.今回は試行錯誤的に決定せざるを得なかったが,目的関数の重み付けを半自動的に決定する方法については,今後検討すべき課題である.図4応力-ひずみ挙動と格子ひずみ発達を目的関数としてパラメータ同定した結果.(a) 応力-ひずみ挙動.(b) α-Mg相および(c) LPSO相の格子ひずみ発達.■・ 初期値依存性 ・■節でも言及したが,局所最適解が存在する問題に対して勾配法を適用した場合,得られる解は初期値依存性を示す.今回は純Mg単結晶の実験結果や商用Mg合金を対象とした結晶塑性解析などの報告に基づき,底面すべり− 147 −

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