zxyzxy1.研究の目的と背景 図1に示すような,長手方向に内径や外径を変化させた2.提案した厚肉円管のマンドレルレス逐次鍛造 提案した厚肉円管のマンドレルレス逐次鍛造の模式図キーワード:変断面管,加工パス,偏平化抑制変断面管は,部材に加わる荷重分布に対応させた形状とすることができるため,軽量化や省資源化に有利な部材である.このような特性を持つ変断面管は,自転車のフレーム1)に適用されているとともに,自動車のシャフト2~4)や鉄道車両の車軸5,6)等への適用が検討されている.変断面管は,同様の形状で寸法が異なる等,テーラーメイド型であることが多いため,多品種少量生産に向くフレキシブルな加工法が望ましい.従来の変断面管の加工方法には,ラジアルフォージング5),ロータリースウェージング2,3),クロスウェッジローリング6),引抜き加工4),押出し加工8)等がある.これら従来の変断面管の加工方法は,比較的フレキシブルな加工法であるものの,加工する形状に応じた金型やマンドレル等の専用工具が必要であった. そこで,よりフレキシブルで多品種少量生産に向く変断面管の加工法として,マンドレルを用いず,2個1対の平金敷のみを用いる逐次鍛造を提案した9).この提案した逐次鍛造の実用化に向けては,種々の加工因子が成形形状に及ぼす影響を体系的に明らかにし,任意の変断面形状への加工を可能にするとともに,体系的に明らかにした加工特性に基づき,加工条件を決定するアルゴリズムを開発する必要がある.本報告では,任意断面形状への加工の第1ステップとして,横断面の偏平化抑制を目的とし,いくつかの特徴的な加工パスや種々の加工条件が成形形状に及ぼす影響について検討した結果について報告する. 図1 変断面管の長手断面 を図2に示す.マニピュレータで素材を把持し,指定した回転方向位置,軸方向位置に動かすとともに,2個1対の平金敷で間欠的に素材を加圧する.この逐次鍛造における加工因子は,加工パスとして設定するマニピュレータによる素材の回転方向送り,軸方向送り,平金敷による素材の圧下率と,製品仕様や設備仕様等によって決まる素材の初期内外径比,素材の材質,金敷幅,金敷形状等がある.加工される形状は,加工パスとして設定する加工因子と素材端部の拘束状態から,固定端側段付き形状,自由端側段付ものつくり大学 情報メカトロニクス学科 (2020年度 一般研究開発助成 AF-2020025-B3)准教授 牧山 高大 3.実験および有限要素シミュレーションの条件 本報告では,逐次鍛造実験用金型を用いた実験と有限要き形状,平行形状,固定端側テーパ形状,自由端側テーパ形状,管端平行形状,管端テーパ形状の7種類に分類することができる.これらの加工因子と成形形状の関係として加工特性を把握することで,種々の形状への加工に対応することができる. 図2 厚肉円管のマンドレルレス逐次鍛造模式図 素シミュレーション結果を比較し,有限要素シミュレーションモデルの妥当性を確認したうえで,有限要素シミュレーションにより,いくつかの特徴的な加工パスや種々の加工条件が成形形状に及ぼす影響について検討した結果について示す.特徴的な加工パスとして,従来加工法である4個2対の金敷で加圧するラジアルフォージングを模した加工パス,自由鍛造で一般的に用いられる4角形,8角形,16角形の順番で角部を加圧するパスに着目した.そして,回転方向一定角度送りである,2π/k rad・blow-1で定義した場合の2π rad分割数kが偶数の場合の従来パスと,従来パスに対して偏平化を抑制できるkが奇数の場合の提案パス9)と比較した. 図3に逐次鍛造実験用金型の外観を示す.この金型は, 図3 逐次鍛造実験用金型の外観 Reduction in radial direction Straight shapeTapered shape at tube endStraight shape at tube endFree end sideUpper dieWorkpieceLower dieUpper dieAxial feedManipulatorWorkpieceTapered shapeLower dieRotational feedFixed end sideStepped shapePlaten of universal testing machineManipulator− 140 −厚肉円管のマンドレルレス逐次鍛造
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