天田財団_助成研究成果報告書2024
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2・3 温度測定方法 接合部の温度測定は,図3に示すように,接合材料裏面から直径1.6mmのシース型K種熱電対を接触させて行った.この時の温度測定位置は,接合方向と直角方向にはツールの回転中心直下,ツールの回転中心直下からAS方向およびRS方向に3mm離れた位置とした.接合方向にはツール回転中心直下の場合,接合長さの中点,ツールの回転中心からASおよびRS方向に離れた場合,接合長さの中点からそれぞれ5mm離れた位置とした.なお,温度計測時のサンプリングレートは100Hzとし,5回測定した平均値で評価を行った. ツールの温度測定は,図4に示すように,接合方向後方約600mmに設置した赤外線サーモグラフィにより,FSW中のツール表面温度を計測した.このときのサンプリングレートは1Hzで,ツール表面における最高温度を記録し,ここでも5回測定した平均値で評価を行った. 温度測定時の接合材料は,図3に概略を示したように,A5052,NiめっきしたA5052(Ni-A5052)およびSnめっきしたA5052(Sn-A5052)単独の場合,それぞれのアルミニウム合金板にスターインプレートでFSWを行うように設置した.また,A5052とめっきした接合材料を組み合わせて使用する場合は,ASにめっきした接合材料,RSにA5052を配置し,突合せFSWを行った. 図2 使用した接合ツール 2・4 組織観察および元素分析 接合部の温度計測を行って得られたFSW継手は,塑性流動状態を検討するため,断面組織観察およびめっき材料の元素分析を行った.断面組織観察は接合長さの中点部分に対して行い,切断面の鏡面研磨後,ケラー試薬(フッ酸2ml.塩酸3ml,硝酸5mlおよび蒸留水190ml)で腐食し,光学顕微鏡を用いて観察した.また,FSW後のめっき材の残留状態を調査するため,最もめっき材の残存量が多いと考えられる,めっき材を単独使用した場合の継手表面および断面における元素分析を行った.分析元素はAlおよびNiまたはSnで,エネルギ分散型元素分析器(EDX)を用いて,加速電圧20kV,倍率500倍で面分析を行った.分析場所は継手表面の場合,接合長さの中点部分においてツールの回転中心,ツールの回転中心からAS方向およびRS方向に3mm離れた位置とした.また,継手断面の場合,接合長さの中点部分においてツールの回転中心表層近傍,表面から約1mm内部および2mm内部の位置とした. 3.実験結果 3・1 接合後の外観 図5は,アルミニウム合金板を様々に配置してFSWを行った場合の外観を示したものである.ここでは接合速度100mm/minの場合について示したが,全く同じFSW条件で,図3 接合温度測定方法 図4 ツール表面温度測定方法 − 127 −

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