天田財団_助成研究成果報告書2024
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を施し接合実験を行った.表2には各材料の表面粗さの測定結果を示す.Tiでは,表面加工を施していない試料の粗さは約11.2μmに対して,SiC研磨紙では17.8μm, ブラスト加工では49.3μmとなり,ブラスト加工を施すことにより約4倍の表面粗さを得た.Ti-6Al-4Vで約3倍, CFRPでは約2倍も粗さが大きくなる.これら接合面の表面加工を施した試料を用いて,電磁成形による接合加工を行った.そのときの充電圧は4~7kVにて実施した.これら接合材について引張試験を行い,引張せん断強度を算出した結果を図9に示す.これらの結果から,ブラスト加工を施すことにより,Ti-CFRP接合材では充電圧4kVのとき約10.2MPa,Ti6Al4V-CFRP接合材では約9.5MPaと大きな引張せん断強度を得ており,加工なしや研磨試験片の場合と比較すると3~5倍程度大きな値となる.また,それぞれの接合材において充電圧が4kVのとき強度が最大となることから,強度の充電圧依存性が見られる.この大きな強度上昇の理由としてアンカー効果が上げられる.(a)Ti-CFRP接合材(b)Ti6Al4V-CFRP接合材図9接合面に各種表面加工を施した試料について電磁成形により接合した接合材の接合強度の充電圧依存性図10にはTi-CFRPおよびTi6Al4V接合材について各種表面加工処理を施した接合界面のSEM像を示す.これらの結果から,TiあるいはTi6Al4V接合材ともにブラスト加工を行うことで,CFRPとの接合界面が波状を伴いそこに樹脂が流れ込み密着していることがわかる.一方,加工処理のない試料やSiC研磨紙による加工した試料では界面において剥離等が見られる.以上の結果より,接合面にブラスト加工を施すことによって金属表面の微細な凹凸にCFRPのマトリックス樹脂が入り込み,機械的な接合(アンカー効果)を形成することが確認できた.しかし,SEM画像の中には,CFRP側に損傷している画像も見られた.図10 接合面に各種表面加工を施した試料について電磁成形により接合した接合材の接合界面の観察図11電磁成形により接合したTi-CFRPとTi6Al4V-CFRP(a)Ti-CFRP接合材(b)Ti6Al4V-CFRP接合材(a)Ti-CFRP接合材(b)Ti6Al4V-CFRP接合材接合材のCFRP側の内部損傷観察− 123 −

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