す.本研究で用いたCFRPの融解温度を調べるため,示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した結果,209℃付近から融解し始め,240℃で融解のピークを示した.そこで,測定した融解温度の領域が占める割合を算出した.その結果,Ti接合材では充電圧が5kVのとき融解温度が占める割合が23.1%と多い.その他Ti-6Al-4V, C276接合材も同様であったが,その割合が50%以上あり,Ti接合材よりも強固に接合されると予測された.一方,SUS304接合材では4kVのときが50%以上あった.図5FEM解析によるTi-CFRP接合材の接合面の温度コンター図(充電圧4~7kV)図6FEM解析によるTi-CFRP接合材の接合面の温度分布(充電圧4~7kV)次に,電磁成形によって発生する接合面のローレンツ力の解析を行った.一例として,図7にはTi-CFRP接合材の充電圧4~7kVのときの金属面に発生するローレンツ力分布図を示す.この結果から,充電圧が増加するとローレンツ力も大きくなるが,接合面の端部付近の分布が増大する傾向が見られる.これは実験に用いたスパイラルコイルの形状に影響したためである.また,Ti, Ti-6Al-4V, SUS304, C276接合材の金属板全体にかかる垂直成分(Z方向)のローレンツ力と充電圧の関係を図8にまとめた.この図から,すべての接合材において充電圧が増加するとローレンツ力も大きくなり相関性が確認できる.しかし,充電圧が大きすぎるとCFRPが絶縁破壊する可能性があり,小さすぎると接合面に圧接力がかからない.よってローレンツ力に最適な値があり,誘導加熱により発生する温度とのバランスが必要となる.図7 FEM解析によるTi-CFRP接合材の接合面のローレンツ力分布図(充電圧4~7kV)図8 各種接合材の充電圧とローレンツ力の関係3・2電磁成形による接合実験(表面加工の影響)本実験に用いたCFRPは直径7μm程度の炭素繊維が樹脂にて包含された構造となっている.すなわち,試験片の表層は樹脂相となっているため,CFRPと金属の異種材接合には樹脂母材と金属の接合面の状態が重要となる.そこで最初に接合面の表面加工による影響を調べた.表2Ti, Ti6Al4VおよびCFRPの表面加工による表面Ti, Ti-6Al-4VおよびCFRPの接合面に,SiC湿式研磨(#100),ブラスト加工(アルミナ粒子100μm)の表面加工試料加工なしSiC湿式研磨ブラスト加工− 122 −粗さの変化表面粗さSα(μm)TiTi-6Al-4V11.217.849.3CFRP12.912.515.416.330.425.6
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