天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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キーワード:■■■■■,連続繊維,■■プリンタ,プレス成形,サーボプレス■ 自動車産業,航空機産業は環境問題の対策として,車体の軽量化による二酸化炭素排出量の削減のため,車体・機体への炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics,以下CFRPと呼ぶ)の適用が拡大してきている.自動車においては一般車乗用車へのCFRPの適用が課題となっており,採用されているのは量産数の少ない車体のプロペラシャフトあるいは外板のごく一部分などに留まる.これは,CFRPで自由曲面を成形する難しさや,サイクルタイムの長さに起因する.プレスにおいては,金属と異なり材料の伸びが乏しいため,成形する形状によっては圧縮ひずみによる強度低下が問題となる.以上のような背景から,CFRPの自動車産業への適用には生産効率の底上げとコスト削減が課題となるが,そのためには金型内で迅速に硬化する必要がある.日産が発表したC-RTM (Compression Resin Transfer Molding)工法1)では,従来は10分かかった成形時間が2分まで短縮され,ハイサイクルな成形を達成している.しかし,自由曲面を成形する場合,プリフォームの製作では明確な基準が存在せず,作業者の経験による部分が大きい. ■シート状材料を用いて,材料の伸縮を最小限に留めながら立体形状を製作可能な手段として,ペーパークラフト等に用いられる展開図がある.自由曲面を展開可能な形状に近似する手法について,ペーパークラフト用途の展開図生成の分野で研究が行われている.特に,帯状のポリゴンメッシュを用いて可展面に近似する手法2)は,近似による形状変化が少なく,また,繊維束を配置する上で,繊維の連続性の保持に有利であると考えられる.そのため,展開図をCFRP 用プリフォームに適用することで,自由曲面上への適切かつ迅速な繊維配置が可能となることが期待される.このような予備成形品の製作には,寸法が保証され,CAD モデルから展開図を生成できる容易かつ自動的な手法が求められる.すなわち,自由曲面を含むCADモデルを適切な多面体に近似し,展開しなければならない.また,展開図上の繊維の連続性を考慮する必要がある3). ■生成された展開図を元にCFRPのプリフォームを出力する方法として,付加製造法(AD: Additive Manufacturing)に分類される3Dプリント技術が挙げられる.3Dプリンタを用いることで,ノズル経路の制御により任意の繊維配向・形状に加工できるためである.また,繊維の連続性も保持しやすい.ただし,サイクルタイムと加工精度はトレードオフの関係にあることと,精度を落としても量産に耐えうる生産性を発揮するのは困難であることには注意が必要である. ■本研究の最終目標は,3Dプリントした炭素繊維と樹脂の積層板を金型に適用し,自由曲面形状にプレス加工する手法の開発である.ポリゴンに近似したCADデータの展開図を元に,3Dプリンタで繊維配向を制御したプリフォームを作成し,各種条件におけるプレス加工への最適化を図る.これにより,強度を保ちながら,ひずみ・しわ・たわみのない寸法が保証された自由曲面の加工を実現する.本論文では,基礎実験として行った半円筒面の加工と評価の手法およびそれらの最適化について検証した. 2.プリフォームによる■■■■■成形■■ ・■■一般的なプリフォーム■■プリフォームは樹脂の予備成形品だが,CFRPにおいては強化繊維を立体的な形状にしたRTM法等の成形用基材である.主に炭素繊維から成る織物基材を目標形状に合わせて裁断・積層し,金型に入れて熱と圧力を加えたものがプリフォームである.その後,プリフォームは型締めされ,熱硬化性樹脂と硬化剤を高圧で注入し,硬化後に脱型する.プリフォームを用いた成形は,自動車の外板のような単純な面形状に採用されやすく,中規模の量産に適している. ■ ・ ■本研究のプリフォーム■■本研究では,市販の熱可塑性炭素繊維強化樹脂スタンパブルシートおよびFDM方式の3Dプリンタを用いて,熱可塑性樹脂のナイロンと炭素繊維からなるプリフォームを作成する.このプリフォームは目標形状を同一平面上に展開した形状として造形されるため,シートから裁断して繋ぎ合わせる従来のプリフォームと区別して,2Dプリフォームと呼称するものとする.2Dプリフォームは型締めされ,樹脂や硬化剤の注入は行わずに熱と圧力加える.最後に,樹脂の硬化温度まで冷却・脱型する.なお,一般的なプリフォームにおいては,航空材料として高強度が求められる構造材のように,炭素繊維の高い体積含有率を求められることがある.本研究では構造材に適用できない体積含有率28%のプリフォームで実験を行うが,3Dプリンタのスライサーソフト上で炭素繊維の積層を制御することにより,同じ形状のプリフォームであっても体積含有率の− 59 −1.研究の目的と背景 上智大学■理工学部■機能創造理工学科 ( ■■■年度■重点研究開発助成■課題研究■■■ ■■■■■ ■■■)■准教授■田中■秀岳 ■■■データに基づいて作成される熱可塑性炭素繊維セミプレグによるプリフォーム材を用いた順送プレス成形法の開発■

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