表1■レーザ諸元 ■■ 表2■表面性状パラメータ キーワード:レーザ,溶射,前処理 項目 波長 出力 パルス幅 ビーム品質 2ns-350ns,15ステップ Sa Sz 14.4 119.4 1064nm >30W 1kHz-4000kHz TEM00 8.2 112.1 仕様 材に吹き付けて皮膜を形成する表面処理技術の一種である.基材と異なる材料の皮膜により,防錆,防食,耐摩耗性,導電性付与など,様々な特性を基材に付与することが可能である1).また,環境負荷低減の観点からも,必要な部位のみに必要な特性を付与できる技術として注目されている.■溶射前処理として施工されるショットブラスト処理は,基材表面を清浄化,粗面化し,溶射皮膜の密着性を向上させる重要な工程である ).しかし,施工時に騒音や粉塵が発生することや,硬く脆いセラミックスなどの脆性材料や金属薄板などの変形しやすい基材などには適さないこと,狭所などブラストが届きにくい部分の処理が難しいこと等,課題も多い.■本研究ではブラスト処理に代わる溶射前処理方法としてレーザ加工に着目した.レーザを用いることで上述した課題を解決出来るほか,加工再現性の高さから,安定した溶射皮膜を施工できるなど多くの利点がある.今回は溶射前処理にレーザとブラストをそれぞれ用いて前処理加工した基材に対して溶射を行い,皮膜密着力と皮膜断面の比較を行った.■また,レーザ加工面の表面性状パラメータを測定し,どのパラメータが密着力と相関が高いのか調査した.■ 2.実験方法 ■ ・■■溶射前処理加工方法■■レーザを用いた溶射前処理加工にはパルスファイバーレーザ(YDFLP-C-30-M7-S:JPT社製)を用いた.表1にレーザの諸元を示す.レーザにはガルバノユニットが付属し,最大3000mm/sの速度でレーザを走査することができる.基材にはアルミニウム合金(JIS規格A5052)を用い,サイズは100mm×50mm×5mmとした.レーザ処理面はレーザ走査速度50mm/s,出力27W,繰返し周波数10kHz,パルス幅200nsの照射条件で,加工痕が直線状に100μmのピッチ間隔で並ぶ状態に加工した. 一方,ブラストを用いた前処理加工には処理はブラスト材にホワイトアルミナ(粒度♯240)を用いて,エアー圧4.0Mpa,ブラスト距離15mmでブラストを行った. レーザ処理面とブラスト処理面の一部をレーザ顕微鏡(LEXT OLS4100:Olympus製)で撮影した3D写真を図1に示す.レーザ処理面は照射痕が直線状に加工されて1.研究の目的と背景 ■溶射とは,材料を溶融あるいは半溶融にした状態で,基広島県立総合技術研究所■東部工業技術センター■加工技術研究部■( ■ ■年度■奨励研究助成(若手研究者枠)■■■■ ■ ■ ■■■■ ) 主任研究員■大田■耕平■おり,ブラスト処理面は完全にランダムな形状となっているのが確認できる.表2に主要な表面性状パラメータを示す.本研究では,面の表面性状パラメータに注目しているが,この理由として密着力などの皮膜特性は評価面の三次元的特徴の影響を受けるためである.Sa,Szはともに面粗さを表す主要なパラメータであるが,どちらもレーザ処理面のほうが僅かに大きい値となっている. パルス周波数 ■レーザ処理面■■■■■■■ブラスト処理面 図1■溶射前処理加工面のレーザ顕微鏡写真 表面性状パラメータ レーザ,μm ブラスト,μm ・ ■溶射皮膜の成膜■■表面処理を行った後,フレーム溶射装置(MK74:Metallisation製)を用いて,ホワイトアルミナ(Al2O3)の成膜を行った.溶射ガンの走査速度10mm/s,溶射ガンと基材との距離60mmとし,溶射材はWA微粉(粒度♯1500)を用いた. − 417 −レーザ加工による溶射前処理手法の検討
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