4.結言 1) Al2O3板端面のぬれ性改善のために,前処理としてMo謝 辞 参考文献 件6の接合体の引張強度は,他に比べて極端に低かった.これはインサート材の厚さの問題だけではなく,使用した最小スポット径30 μmのレーザが,インサート材を含むAl2O3板の接合界面近傍に広く照射され,Al2O3板に悪影響を及ぼしたと考えられる. 条件4の接合体における界面付近の断面観察結果を図16に示す.Al2O3板を治具で固定することにより,Al2O3板同士は,ずれることなく接合されていた.また接合界面の両端には欠損が見られた.これはレーザ照射によりAl2O3が昇華したためだと思われる.Al2O3板をより厚くすることで密着面積が増加し,接合強度の向上が期待できる. 図16 条件4の接合体における界面付近の断面 Al2O3板同士のレーザ突合せ接合において,摩擦攪拌によるメタライズ処理の有効性を検証しつつ,良好な接合体を得ることを目指して,レーザ接合条件(メタライズ処理の有無, 出力,インサート材の種類や厚さ,板の固定方法)を変更し,接合ならびに評価を行い,以下の知見を得た. 膜を形成することが有効である. 2) レーザ出力が高い場合,Al2O3板接合界面付近にクラックが生じてしまうため,より低出力での接合が望まれる. 3) インサート材は,部材の使用環境を考慮しつつ,低融点かつ低い線膨張係数のものが良好である.本研究で はMo箔よりNi箔を用いた接合体の引張強度が高い. 4) Al2O3板同士の突合せ方向の力が強い方が,接合強度が高い. 5) Al2O3板を上下方向から治具で固定することにより,接合部において,ずれが無い接合体が得られる. 6) 上下方向から治具で固定したAl2O3板の接合体において,インサート材の厚さ20 μmの接合体が最も引張強度が高い. 今後の課題は,より厚いセラミックス板を接合することである.レーザ条件や材料の選定により,厚いセラミックス板の接合が実現可能であると考えられる. 本研究開発は,公益財団法人天田財団2020年度奨励研究助成(若手研究者枠)により行われたものであり,ここに深く感謝の意を表します.また本研究を遂行するにあたり,大阪産業技術研究所の片桐一彰氏,山口拓人氏,田中慶吾氏,尾崎友厚氏,長谷川泰則氏,田中努氏,垣辻篤氏から多大なるご助言,ご協力を賜ったことに深く感謝いたします. 1) M. Rohde, I. Sudmeyer, A. Urbanek, M. Torge, Joining of alumina and steel by a laser supported brazing process, Ceram. Int. 35 (2009) 333-337. 2) K. Nagatsuka, Y. Sechi, K. Nakata, Dissimilar joint characteristics of SiC and WC-Co alloy by laser brazing, J. Phys.: Conf. Ser. 379 (2012) 012047. 3) 速水諒三:セラミックスの接着と接合技術,シーエムシー出版(2002)49-68. 4) H. Sonomura, T. Ozaki, K. Katagiri, Y. Hasegawa, T. Tanaka, A. Kakitsuji, Metallization of Al2O3 ceramic with Mg by friction stir spot welding, Ceram. Int. 48 (2022) 864-871. 5) 園村浩介,尾崎友厚,片桐一彰,山口拓人,長谷川泰則,田中努,垣辻篤:摩擦攪拌スポット溶接を用いたアルミナセラミックスのメタライズ,溶接学会全国大会講演概要 (2021) 146-147. 6) B.D. Dunn, Materials and Processes, Springer Praxis Books 2016. − 400 −
元のページ ../index.html#402