天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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図6 Al2O3板端面に形成されたMo膜 付着力評価の結果,図7に示したように炭素鋼製棒とMo膜との間のアクリル樹脂系接着剤にて破断したため,Mo膜とAl2O3板端面との間の付着力は7.16 MPa以上の強度であることが分かった.摩擦攪拌にてメタライズ処理を行うことで,強固な金属膜が形成されたことが明らかとなった. 図7 Mo膜の付着力評価後,炭素鋼製棒とMo膜との間のアクリル樹脂系接着剤にて破断し,観察された破断面 3・2 条件1-3でのレーザ突合せによる接合体作製の可否ならびに接合体の評価 図8に示すように条件1および3において良好な接合体が得られた.一方,メタライズ処理を行っていない条件2では接合されず,図9に示すようにAl2O3板端面において未反応のAl2O3とMoが観察された.この原因は,溶融されたMoによるAl2O3のぬれ性が良くなかったためである.レーザ突合せ接合においても,前処理によるセラミックスのぬれ性の改善が効果的であることが確認された. 図8 (a)条件1及び(b)条件3にて得られた接合体 引張強度評価の結果,条件1及び3の接合体の引張強度はそれぞれ0.21および0.63 MPaであった.条件3の接合体の引張強度が高いことが分かった.一方,条件1の接合の引張強度が低かった理由として,インサート材のMo箔が十分に溶融しなかったためだと考えられる.Mo箔を溶融させるためには,より高出力での接合が必要である.しかしながら,現行の出力において,Al2O3板の接合界面付近に平行にクラックが見られた(図10).条件1の出力が高かったために熱衝撃によりクラックが生じたと思われる.このことより,Al2O3板の接合においては,インサート材はMo箔よりもNi箔の方が良好である.また条件3の接合体における破断面の一部においてAl2O3板内部での破壊が見られた(図11).接合界面の強度の方がAl2O3板内部の強度よりも高かったため,板内部で破壊が見られたと考えられる. 図10 条件1にて得られた接合体の界面付近のクラック 図11 条件3にて得られた接合体の破断面 図9 条件2にて得られた接合体の破断面 − 398 −

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