天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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2.実験方法 2・1 メタライズ処理 キーワード:アルミナセラミックス,レーザ突合せ接合,メタライズ処理 した手法と比べて,大気中かつ局所加熱により短時間で接合出来る等のメリットがある.本接合技術は炉を使用しないため,部材の大きさの制限がなく,接合する周辺部材への熱の影響が少ない.本接合技術が確立されれば,電子電気機器に使用される小さなセラミックス部品から構造材のような大型のセラミックス部材の接合まであらゆる分野で適用でき,高い生産性をもたらすことが期待される. 一般に,セラミックスのろう付けは,セラミックスに対するろう材(金属)のぬれ性,ならびにそれら材料の熱膨張差による熱応力が接合強度に大きく影響する.レーザを用いたろう付けについても,セラミックスへのろう材のぬれ性の改善,ならびに熱膨張差の低減が課題となる3). これまでセラミックスと金属の接合について,摩擦攪拌現象を用いてセラミックスのメタライズ処理を行ってきた4, 5).摩擦攪拌にてAl2O3板端面上にMgをメタライズ処理した結果,23 MPa程度の強度で強固に接合された.この摩擦攪拌によるメタライズ処理は,セラミックス上に強固にメタライズ膜を形成させることができるため,急速加熱冷却過程を伴う突合せレーザ接合の前処理として効果的であり,ぬれ性の改善も期待できる.またメタライズに使用する金属を,線熱膨張係数が5×10- 6/KのMoに変更することで,Al2O3の値(6.5–8.8×10-6/K)と同程度となり,熱膨張差を低減がすることが出来る6).このような背景のもと,Al2O3板同士の突合せレーザ接合が可能となると考えられるが,検討された報告は無い. そこで,本研究では良好な接合体を得ることを目指して,前処理として摩擦攪拌にてAl2O3板の端面にMoをメタライズ処理した後に,いくつかのレーザ接合条件(メタライズ処理の有無, 出力,インサート材の種類や厚さ,板の固定方法)を変更し,接合ならびに評価を行った. 供試材として厚さ1 mmのAl2O3板(相対密度が99.5 %,純度が99.5 %)のものを用い,メタライズには,直径6 mmのMo棒(純度99.95 %)を用い,インサート材として厚さ10,20 µmのMo箔(純度99.95 %)を用意した.摩擦攪拌にてセラミックス板の端面をメタライズするため,ボール盤(HiKOKI製B23S)及びクロスバイスを使用した.装置のチャック部にMo棒を装着し,ステージ側はクロス1.研究の背景と目的 レーザを用いたろう付け1,2)は,従来の雰囲気炉を使用大阪産業技術研究所 応用材料化学研究部 (2020年度 奨励研究助成(若手研究者枠) AF-2020235-C2) 主任研究員 園村 浩介 バイスを取り付け,セラミックス板端面が上になるように板を挟んで固定した.なお,Mo棒の可動性を向上させるため,ステージ台を水平から3°傾けて固定した.回転数は1590 min-1とし,Mo棒をセラミックス板端面に押し付けながら,セラミックス板端面上を移動させて,線状にメタライズを行った(図1). 図1 ボール盤を用いたメタライズ処理 金属膜の付着力は卓上型引張り圧縮試験機(A&D製MCT-2150)を用いて評価を行った.直径4 ㎜,長さ70 ㎜の炭素鋼製棒をアクリル樹脂系接着剤でメタライズ膜に固定し,室温,速度10 ㎜/minにて面直方向に破断するまで引張り試験を行った.測定された最大荷重を付着した面積で規格化し,付着力とした.結晶学的な性質については,X線回折装置(リガク製Smart Lab)を用いて評価した.Cu Kα線を用い,40 kV, 150 mAの出力にて測定した. 2・2 突合せレーザ接合 メタライズされた面同士を突き合わせてバイスに固定し, 連続発振レーザ(IPG社製YLR-200-AC)にてレーザを両面から照射した(図2).波長1070 nm,出力46,又は69 W,走査速度10 mm/s, 最小スポット径30 μmであった.Arガスを15 l/minにて流しながら不活性雰囲気中で,表1,2に示した6条件にて実施した.図3に示したように,条件1-3は治具によりセラミックス板を固定せずに,メタライズの有無,インサート材の種類,出力を変更した.次に,条件4-6については,バイスに固定する前に予め,治具によりセラミックス板を固定し,Niインサート材の厚さを変更した. − 396 −セラミックス板のレーザ突合せ溶接技術の開発

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