天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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1) S. Nishimoto, Y. Koguchi, M. Yamasaki, Y. Kawamura, 2) M. Hirano, M. Yamasaki1, K. Hagihara, K. Higashida, Y. 3) Y. Kawamura, H. Yamagata, S. Inoue, T. Kiguchi, K. 4) J. P. Hadorn et al, The Minerals, Metals & Materials Society 5) T. Al-Samman, X. Li, Mater. Sci. Eng. A, 528 (2011) 3809–図13 加工粒領域の体積分率と破壊靱性値の関係 なると粗大な動的再結晶粒領域の体積分率が増加した。AlとYbを複合添加すると微細化と粗大化の双方の効果を打ち消し、Mg-1Zn-2Y合金と同程度の結晶粒径となった。Mg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材の動的最結晶粒径は、Al-Yb化合物のピン留め効果と合金元素の粒界の農化によるSolute drag効果によって微細化した。 熱処理によってネットワーク状のLPSO相と-Mg相で形成された組織を板状LPSO相とCANaPを有する組織に変えることで、動的再結晶粒を抑制することができた。これは粗大なLPSO相が減少したため、PSNによる動的再結晶が形成しづらくなったためだと考えられる。これらの初期組織制御によって動的再結晶粒を抑制することで、繊維状加工粒を増加させることで、0.2%耐力380 MPa、破壊靱性KQ14.8 MPa m-1/2のMg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材を作製することができた。また、Mg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材は、高いラム速度でも強度を320 MPa以上を示した。 本研究を行うにあたり、公益財団法人天田財団により ■ ■年度奨励研究助成(若手研究者枠)■■■ ■ ■■■■■■ の支援を受けました。心より深く感謝の意を表する■ 謝■辞■参考文献 制し、-Mg相に強いバイモーダル化を発生させる。この効果は、ラム速度を増加させても組織を微細に保ち、強度を高く保つことの要因の一つだと考えられる。これらの動的再結晶粒の粗大化の抑制は、TEM観察結果から以下の原理が考えられる。TEM観察結果から-Mg相の動的再結晶粒の粒界にはAl-Yb化合物が形成していた。この化合物が動的再結晶の成長を抑制(ピン留め効果)したと考えられる[4]。また、化合物が観察されない粒界でも合金元素の濃化が観察された(図7)。粒界への合金元素の濃化は、Solute drag効果によって、動的再結晶粒の粗大化を抑制すると考えられる[5]。これらのピン留め効果とSolute drag効果の両方からラム速度が増加しても、動的再結晶粒の成長が抑制されたと考えられる。この動的再結晶粒の微細化が押出材の0.2%耐力の向上に繋がった。 ■■■ ■熱処理が機械的性質と組織に及ぼす影響■熱処理によって、ネットワーク上のLPSO相が、板状LPSO相とCANaPを有する組織に変化した。時効処理を施したMg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材では、動的再結晶が抑制したことで、繊維状加工粒の面積率が増加した。繊維状加工粒は、底面が押出方向とほぼ平行な結晶方位を有しているため、強度向上につながった。また、CANaPを有する-Mg相の加工粒では、キンク変形が発生することが知られている。このキンク変形は、強度向上に寄与することが近年明らかとなっている。繊維状加工粒の面積率の増加およびキンク変形の発生によって、時効処理を施したMg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材は、Mg-1Zn-2Y合金押出材などよりも高い強度を示したと考えられる。また破壊靱性値KQにおいても時効処理を施したMg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材は、14.8 MPa m-1/2と他の押出材よりも高い値を示した。時効処理を施したMg-1Zn-2Y-0.3Al-0.1Yb合金押出材では、強化相である繊維状LPSO相の体積分率が他の押出材よりも10%程度減少しているにも関わらず高いKQ値を示した。一方で-Mg相の繊維状加工粒の体積分率は、他の押出材と比較して、20-38%増加していた。図13に繊維状加工粒領域の体積分率と破壊靱性KQの関係を示す。繊維状加工粒の体積分率が増加するに伴い、破壊靱性値が増加していることが示された。このことから、Mg合金の破壊靱性値を向上させるためには、加工粒をある程度増加させたマルチモーダル組織を形成することが重要であると考えられる。 5.結言 本研究では、AlやYbといった合金元素の添加、押出加工前の熱処理といった初期組織制御と押出加工条件がLPSO型Mg-Zn-Y合金の機械的性質や破壊靱性に及ぼす影響を調査した。 晶粒径が抑制された。一方で、鋳造材の結晶粒径が微細にAlやYbを添加することで、鋳造まま材の結晶粒径を変化させた。初期組織の結晶粒径が大きければ、動的再結− 386 −Mater. Sci. Eng. A, 832 (2022) 142348. Kawamura, Mater. Trans., 51 (2010), 1640-1647. Chattopadhyay, J. Alloys Compd., 939 (2023) 168607 and ASM International (2012). 3822.

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