4.結論 SPCCを供試材として,レーザを用いた部分的な高強度化が成形性および成形品強度におよぼす影響を調べた.本 謝 辞 参考文献 1) 高橋:ふぇらむ, 7 (2002), 34. 2) 篠原:精密工学会誌, 83 (2017), 391. 3) 牧:ふぇらむ, 13 (2008), 544. 4) 四宮・坪井:大阪産業技術研究所テクニカルシート, https://www.orist.jp/content/files/technicalsheet/22-08.pdf 5) 丸紅情報システムズ株式会社:塑性と加工, 53 (2012), ている.このことは,圧縮変形において,曲げの支点が変わらないまま変形することを意味しており,その曲げの支点は高強度部-低強度部の境界に対応している.その結果,1 lap材および2 laps材では,導入した高強度部が圧縮変形の抵抗にならず,むしろ高強度部-低強度部の境界が曲げの支点となることで,圧縮荷重が早期に低下したと推測される.それに対して,3 laps材では高強度部幅が広く,高強度部-低強度部の境界が曲げを受けるパンチ肩部から離れていたため,高強度部が曲げ変形の抵抗としてのみ働くことで,成形品強度が向上したと考えられる. 研究で得られた結果を以下に示す. 1) レーザを用いて局所焼入れを行うことで,SPCCの部分的な高強度化を達成できた.さらに,レーザ照射位置をずらして複数回照射することで,種々の高強度部幅を有する試料を作製できた. 2) 部分高強度化によって,受け入れまま材で顕著な板厚の減少が見られたパンチ肩部の減肉が抑制され,限界絞り比を向上することができた. 3) 部分高強度材では,導入した高強度部が圧縮変形の抵抗となるため,圧縮荷重の立ち上がりの傾きが増加した.最大圧縮荷重は,3 laps材>受け入れまま材=1 lap材>2 laps材であり,3 laps材の成形品強度は受け入れまま材より向上していたが,1 lap材および2 laps材では,高強度部を導入したにもかかわらず,成形品強度は受け入れまま材以下であった.このように,導入する高強度部幅により成形品の変形挙動が異なることが明らかとなった.この結果は,部分高強度部の配置を工夫することで,3 laps材のように成形品強度を向上させる,1 lap材と2 laps材のように荷重の増加を伴わず変形が進行する (=衝撃エネルギー吸収能に優れる) など成形品に様々な機能を持たせられることを示唆している. 以上より,軟鋼板の部分高強度化によって,成形品強度を向上させつつ,プレス成形性も向上させることができた. 本研究は,公益財団法人天田財団2020年度奨励研究助成 (AF-2020037-C2) にて行った.記して謝意を表する. 6) 渡部:塑性と加工, 33 (1992) 396. 7) 8) 西脇・金武:軽金属, 55 (2005) 33. 9) 917. F.Vollertsen・K.Lange:Annals of the CIRP, 47 (1998) 181. 9) M.Geiger・M.Merklein:Prod. Eng. Res. Devel., 3 (2009) 401.− 381 −
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