天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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図6は,光学式プレス成形解析によって解析したφ80 mmの受け入れまま材と3 laps材の板厚減少コンター図である.受け入れまま材では,パンチ肩部において成形後の板る1つの指針として,パンチ肩部とフランジ部で強度差を与えることが提案されており,ステンレスの周辺加熱絞り図5 絞り比と割れの関係 6)やアルミニウムの部分溶体化処理7-9)などフランジ部を拡大した.今回の照射条件では,複数回照射する際に照射領域が1 mm程度重なり,再度加熱された結果,フェライトが生じた領域が見られた.しかし,フェライトが生じた領域でもビッカース硬さは180 HV程度と受け入れまま材より高強度であり,レーザ照射部と照射部外で強度差は保たれている.レーザ局所焼入れによって,パンチR部近傍に種々の高強度部幅を有する試料を作製できた.以下では,1 lap材,2 laps材,3 laps材をまとめて部分高強度材と呼ぶ. 3・2 成形性におよぼす部分高強度化の影響 φ80 ~ 90 mmまで2 mmずつブランク径を変えた試料を用意し,各3回深絞り成形を行うことで,受け入れまま材と部分高強度材の限界絞り比を調べた.絞り比に対して割れの有無を整理した結果を図5に示す.×は2/3個以上の割れ,△は1/3個の割れ,○は3個とも割れが生じなかったことを意味する.受け入れまま材は絞り比2.15からパンチ肩部での割れが見られたが,部分高強度材は絞り比厚が顕著に減少していることがわかる.その一方で,パンチ肩部を高強度化した3 laps材では,板厚の減少が抑制された.図7に,板厚減少コンター図から出力した圧延方向から45°方向の板厚分布を示す.図中に肩部の板厚分布を拡大したものを示しているが,受け入れまま材と比較して,変形を進行させるだけの荷重をパンチ肩部で支えることができれば,成形は可能となる.深絞り成形性を向上させ軟化させた報告がある.本研究においては,フランジ部に対してパンチ肩部をより高強度とすることにより,ブランク径の増加に伴う変形荷重の増加を支えることができたため,板厚減少が抑制され,成形性の指標である限界絞り比が向上したと考えられる. 沿った曲げを受けるため,成形荷重は受け入れまま材と比較して高くなった.また,深絞り成形後期では,部分高強度部の変形が完了しており,受け入れままの強度であるフランジ部が変形するだけなので,成形荷重は受け入れまま材と部分高強度材でほぼ等しい.高強度部幅が大きくなるほど成形時の最大荷重は増加しているが,3 laps材と受け入れまま材で4 kN程度の差異しか見られなかった. 2.25でも破断することなく成形できた.以上より,パンチ肩部の高強度化によって限界絞り比が向上したと言える. 3 laps材ではパンチ肩部における板厚減少が抑制されたことが確認できる.深絞り成形において,フランジ部の縮みφ80 mmの受け入れまま材および部分高強度材の成形荷重-ストローク曲線を図8に示す.部分高強度材の深絞り成形初期では,高強度化されたパンチ肩部がパンチ形状に図6 (a)受け入れまま材と(b)3 laps材の板厚減少 図7 受け入れまま材と3 laps材の板厚分布 (45°方向) − 379 −

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