図2に押出し試料の相対密度測定の結果を示す。黒鉛添加量が増加すると、相対密度が低下する傾向が見られる。これは黒鉛添加量が増加したことにより、黒鉛がAlの緻密化を妨げたこと、黒鉛同士や黒鉛とAlの界面積が大きくなり、空隙率が増加したことが原因だと考えられる。ま■■3.実験結果および考察 図1に20vol%、 40vol%、60vol%の黒鉛を添加した押出し試料の外観を示す。試料外観から、黒鉛を20vol%、40vol%添加した試料は凹凸やクラックなどがない健全な試料と言える。しかし、黒鉛を60vol%添加した試料はシースが破け、複合材料部分にもクラックが確認されたため、不健全な試料と言える。 対密度■− 359 −キーワード:熱間押出し、アルミニウム、黒鉛、複合材料 近年、電子デバイスの性能向上や小型化に伴い、半導体高集積回路のより高速化・高集積化が進んでいる。しかしながら、電力密度の増大により発熱量が著しく増加し、電子デバイスの効率や寿命などに悪影響を与えていた。このため、熱対策が重要な課題となっており、高熱伝導性を有する軽量な放熱材料が求められている。放熱材料に必要な特性として、高い熱伝導率の他に、Si等の半導体素子に近い低熱膨張係数や取り付ける際に適切な機械的性質を有することが挙げられる1-3)。 現在、放熱材料の開発は、高熱伝導率と低熱膨張係数を併せ持つ炭素系素材、例えばダイヤモンド、炭素繊維、黒鉛などを添加材として、母材のアルミニウムffAl■や銅ffCu■に添加することによって行われている。母材としてのAlは、Cuよりも比重が小さく、加工性が良く、安価というメリットを有し、軽量への要求が強いノートパソコンや自動車などの放熱材への応用に適当だと考えられている。一方、添加材としての黒鉛はダイヤモンドや炭素繊維に比べ、低コストや優れた加工性、母材中に分散しやすいという利点を持ち、多くの研究グループに注目されている。黒鉛は六方晶系の層状結晶構造を有するため、熱的・機械的性質などに大きな異方性が存在する。例えば、基底面に平行する層状方向の熱伝導率が高く、c軸方向の値が極めて小さい。そこで黒鉛を母材中に一方向に配向させることによって、Alの熱伝導率や熱膨張係数、機械的性質をさらに向上することが期待できる4-12)。■近年、Al■黒鉛複合材料の作製に関する研究が多く進められている。その製造方法には、ホットプレスや鋳造等の技術が主に用いられており、成形された複合材料の加圧面に沿う熱伝導率は純Alの約二倍程度に向上している。しかしながら、ホットプレス法では、大量生産が困難であり、また、黒鉛の配向性や黒鉛とAlの界面の欠陥によって、試料の熱膨張係数は純Alとあまり変わらない。一方、鋳造法では、様々な鋳造欠陥や偏析、界面に炭化物が形成されることによって、試料の機械的性質は大きく低下しており、実用上問題になると思われる13-14)。■そこで、本研究では大量生産と一方向配向を同時に実現させるため、天然黒鉛とAl粉末を出発原料として用い、熱間押出し加工によりAl■黒鉛混合粉末の緻密化と成形を同時に実現する。押出し加工によって、黒鉛を押出し方向1.研究の目的と背景 鳥取大学■工学部■機械物理系学科 ff ■ ■年度■奨励研究助成(若手研究者枠)■■■■ ■ ■■■■■■ ■■助教■衣■立夫 に配向させるとともに、高密度のキンクを導入し、高熱伝導率・低熱膨張係数を兼ね備えたミルフィーユ構造のAl■黒鉛複合材料の創製を目指す。本研究では、Al■黒鉛複合材料の熱伝導率・熱膨張係数に及ぼす原料粉末の粒径、黒鉛の添加量、Al-Si合金粉末の添加量およびSiの含有量、押出し条件等の影響を明らかにすることを目的とした。■■ 2.実験方法および条件 本研究では、異なる粒径の鱗片状黒鉛粉末、AlおよびAl-Si合金ffAl-5Si■■Al-12Si■粉末を出発原料として用いた。ボールミルで混合した後、Alと黒鉛との界面の改善及び密度を向上させるため、放電プラズマ焼結装置ffSPS■でAlの融点ff660°C■とAl-Si合金の融点ff580-605°C■の間の温度で焼結した。得られたSPS焼結体をAlシースに真空封入し、押出し温度400-500°C、押出し速度1mm/min、押出し比14の条件で熱間押出しを行った。 押出し試料の密度をアルキメデス法により測定した。また、押出し試料に対して、XRDによる相同定、ラマン分光装置による黒鉛の結晶性、SEM、EPMA、EBSD、TEMによる組織観察や解析を行った。さらに、レーザフラッシュ法およびTMA装置により押出し試料の熱伝導率と熱膨張係数を測定した。■3・1■押出し成形した■■■黒鉛複合材料の外観及び相た、添加した黒鉛粒径が小さいほど、相対密度が小さくなる傾向が見られる。これは粒径が小さいほど、黒鉛同士や黒鉛とAlの界面積が大きくなり、空隙率が増加したため熱間押出し加工による高性能ミルフィ-ユ構造の■■■■黒鉛複合材料の創製■
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