キーワード:トライボロジー,塑性変形,可視化,離形抵抗 ■■ ■■1.研究の目的と背景 近年,多品種少量生産の要求は塑性加工分野においても強まっており,単純な生産性の追及のみならず,寸法精度や表面性状,外観上には現われない残留応力などの品質に関わる多様なニーズに対して,低コストで,かつ自在に作り分ける技術が強く求められている.こういった要求を実現するために,加工中の材料変形や材質変化,金型-材料間の界面現象をより忠実に把握し,その上で対象に応じた最適なプロセスを決定するための技術が必要とされている[1].しかしながら,塑性加工では金型内で材料の塑性変形が完結するため,実際に型内で材料の塑性変形がいかにして進行するかが容易にはわからない.そこで従来は,型内に様々なセンサやセンシング技術を導入することで,材料の変形挙動に関連する可能な限り多くの情報の獲得を試みる方法や,数値シミュレーションによって型内現象を再現する方法などが検討されてきた.しかしながら,前者は測定結果から現象を推定しているに過ぎないこと,後者は現象のモデル化の精度と数値計算上の精度が常に課題になることが問題となっており,塑性加工における材料の変形挙動を直接的に観察する手法の構築が強く求められている. ■そこで本研究では,塑性加工における材料変形挙動をin-situ 観察するための新たな技術の確立を目的に,PIV を援用した塑性加工現象の可視化技術を構築することを試みた.そして,同技術を援用した応用技術の一例として,塑性加工における金型-材料間の凝着現象と材料の表面積拡大の関係について,詳細な検討を行った. ■2.■■■を援用した材料変形挙動の可視化装置の開発 ■本研究では,塑性加工における金型-材料間近傍における材料の塑性変形挙動を模擬するために,インデンタ(くさび状圧子)による押し込み試験を援用した実験装置の開発を行った.図1に,本研究で開発した実験装置の概要を示す.同図に示すように,ガラスによって材料のガラス面側への変形を拘束することによって,ガラス面に沿って平面ひずみ状態を実現する.この状態において,押し込み試験中のインデンタ近傍の材料の変形挙動を高速度カメラで撮影した.図2に,本研究で使用したインデンタを示す.インデンタは高速度工具鋼鋼材製のものを使用し,インデンタ先端は超精密研削加工によってR0.02以下に仕上げている.本研究では,塑性加工中に発生する様々な変形場を再現するために,異なる先端角(30,60,90,120°)大阪大学■大学院工学研究科■機械工学専攻■( ■■■年度■奨励研究助成(若手研究者枠)■■■■ ■■■■■■■■ ) 講師■杉原■達哉■を有するインデンタを用意した.また,加工対象の材料として,焼きなまし処理を行った純アルミニウムを用いた. ■さらに,本研究では撮影した画像に対して粒子画像流速計測法(PIV)を適用することによって,材料の変形挙動の可視化を行った[2, 3].図3に,PIV解析のフローを示す.− 351 −図1■塑性加工のIn-situ観察装置 図2■本研究で使用したインデンタ■図3■PIV解析のフロー 塑性加工における材料変形挙動の■■■■■■■観察とその応用
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