図8:球形の誘電体を用いたESR測定の結果。上のカーブは誘電体を用いていない場合の測定結果(測定周波数f=251.974 GHz)、下のカーブは直径が15.9 mmのポリプロピレン球を用いた場合の結果(測定周波数f=250.821 GHz)である。下向きの変化がESR吸収に起因する信号である。 t 図9:炭酸ガスレーザーを用いて作製したテフロン製フォトニックジェットレンズ。球の半径は9.5 mm。 )sti .bra( tnunerrucoohP向きの変化がESR吸収に由来する信号である。一方、PP球を試料の前に置いた場合、ESR信号の大きさはPP球が無い場合に比べて約3倍増大していることがわかる。このことから試料の前に誘電体球を置くことで試料位置における電磁場強度が増大し、ESR信号が増大したと考えることができる。 ■・ ■レーザー加工フォトニックジェットレンズ■■作製したレーザー加工装置を用いて実際にフォトニックジェットレンズの試作を行った。図9に示すのは、直径9.5 mmのテフロン球に対して加工を行ったものである。シミュレーション結果に合わせて、球を平面で切り落としたもの(左)、頂点にくぼみをつけたもの(中央)ならびに楕円状に切り落としたもの(右)などを作製した。テフロンについては加工性が良く、比較的望んだ形状の加工が行えることが分かった。ポリプロピレンといったその他の樹脂材料では、炭酸ガスレーザーの照射によって融解するなどしてしまい加工には適さなかった。テフロンはテラヘルツ帯における吸収係数が小さいことからフォトニックジェットレンズ材料としては今後、有望である。 ■また、本研究では石英についても加工を行った。ガラスの場合と異なり、レーザー光を照射しても割れたりすることなく十分な精度で加工できることが分かった。また、樹脂材料に比べると加工には時間がかかるものの加工後の表面は十分に滑らかであり、光学素子として使用可能であることがわかった。石英は光学的にも透明であることから目視による位置合わせが可能あり、テフロンに比べると使いやすい。今後は、加工条件の最適化を行い、石英ロッドを用いてフォトニックジェットレンズの作製に着手していく予定である。 5.まとめ 本研究では、将来的に応用が期待されるテラヘルツ波の強度を増強するため、誘電体を用いたフォトニックジェットレンズに着目した。これまでの報告では、球などの単純な形状が多くみられるが、本研究では良りよい性能を実現するためにフォトニックジェットレンズの形状最適化を目指した。そのため、切削が困難な素材に対しては精密な部品加工を実現するため、炭酸ガスレーザーを用いた加工機を自作した。また、電磁波解析シミュレーションソフトを用いて集光特性についても数値的に評価した。 実際にフォトニックジェットレンズを用いてESR吸収測定を行ったところ、3倍程度の信号増強が見られたことからテラヘルツ領域でもフォトニックジェットレンズが機能していることが分かった。今後は、引き続き石英や樹脂材料を用いてフォトニックジェットレンズの作製を行い、より最適なレンズ形状の決定ならびに実際のテラヘルツ波を用いた測定への応用を進めていきたいと考えている。 ■ 誘電体球あり誘電体球なし謝■辞■参考文献 ■本研究を遂行するにあたり、一緒に計算ならびに実験を行ってくれた滝川稜人君をはじめとする大学院生諸氏に感謝します。■ − 322 −Technology”, Springer (2009). S. Lecler, S. Perrin, A. Leong-Hoi and P. Montgomery, “Photonic jet lens”, Scientific Reports, 9 (2019) 4725. DPPHRTf=250.821 GHz8.85B (T)f=251.974 GHz8.91) Yun-Shik Lee, “Principle of Terahertz Science and 2)
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