天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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(Firestar V30)をSynrad社から購入した。発振出力は、レーザー本体に送るパルス波のデューティー比を変える図3:球形フォトニックジェットレンズのシミュレーション結果。球の直径は15.9 mm、周波数150 GHz。 図4:1辺の長さが10 mmの立方体形状フォトニックジェットレンズのシミュレーション結果。電磁波の周波数はf=115 GHz(上)と150 GHz(下)。 図5:様々な形状の誘電体に対するフォトニックジェット効果:(a)円柱、(b)直方体、(c)球、(d)一部を切り落とした球、(e)一部にくぼみをつけた球。 本研究ではフォトニックジェットレンズの設計にあたり、CST Microwave Studioと呼ばれる電磁波解析ソフトを用いた8)。様々な形状のフォトニックジェットレンズに対して平面電磁波を入射し、電磁波強度の空間的分布を数値計算から求めた。 ■図3には最も単純な球形のレンズに対する数値計算の結果を示す。球の直径は15.9 mm、周波数はf=150 GHz、球の屈折率はn=1.49となっている。この図より、平面波で入射した電磁波は球の内部を伝播したのち、入射位置の裏側で振幅が大きく増大していることがわかる。しかも、電磁波強度の増強している領域が非常に狭く、球の後ろ側の伸びるような形をしていることがわかる。このようなジェット状に伸びた増強領域を示すのがフォトニックジェットレンズの特徴である。 ■ ・ ■様々な形状のフォトニックジェットレンズ■■異なる形状のフォトニックジェットレンズについても電磁波シミュレーションを行い、そのアンテナ特性を評価した。図4は立方体形状の誘電体に対してf=115 GHzとf=150 GHzの平面電磁波を入射した場合の結果について示す。いずれの場合においても電磁波が入射した位置の裏側に電磁波強度の増大が見られた。特にf=115 GHzの方がf=150 GHzの場合に比べて強い強度が得られた。また、直方体(一辺9.5 mm)以外にも、円柱(直径9.5 mm、長さ9.5 mm)、球の一部を平面で切り落とした形状(直径9.5 mm)、球の頂点に円錐状のくぼみをつけた形状(直径9.5 mm)などについて電磁波シミュレーションを行った。測定周波数(f=150 GHz)と球の屈折率(n=1.49)は固定した。図5に示すように、円柱や直方体でも、同様に電磁波強度の増大が見られた。また、球の一部を切り落とした形状や一部にくぼみをつけた形状を球と比較すると、完全な球状のものが最も大きな強度を示すことが分かった。 3.レーザー加工装置ならびに評価装置の作製 ■・■■レーザー加工装置の作製■本研究では0.1~0.5 THzの周波数をターゲットとしているため、相当する電磁波の波長は0.6~5 mmとなる。そのため、加工対象となる誘電体の大きさも概ね同様の大きさになる。素材によっては刃物を用いた加工も可能ではあるが、特に石英の場合、切削が困難である。そこで本研究では炭酸ガスレーザーを用いたレーザー加工装置を自作した。石英はガラスと違って熱に強いため、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー加工に適している。 ■フォトニックジェットレンズでは多くの場合、軸対称の形状を取ることが多いため、本研究では加工対象をモーターで回転させながら、集光したレーザー光を加工対象に照射し、加工、切断する方式を採用した。加工対象の回転には回転スピードを連続的に変更できるACモーターを採用した。また、モーター全体をXYZステージに搭載し、精密な位置調整が行えるようにした。 ■炭酸ガスレーザーとして出力が30 Wクラスの製品ことによってほぼ連続的に調節することができる。加工対象に対するレーザーの照射位置を調整するため、本研究ではRaylase社のガルバノミラー(Miniscan II-7)を用いた。− 320 −

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