天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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4.まとめ 図10■接合界面の断面観察結果:(a) Fine材,(b) Middle材,(c) Coarse材,(d) Coarse-V材 に浸潤した樹脂が強いアンカー効果を発揮し,高い接合強■・ ■造形時に加える微小振動の影響■■樹脂造形にAl合金基材を加振した試験片のせん断試験結果を,加振を加えなかった場合の結果と比較して,図9に示す.図9に示すように樹脂造形時に基材に加振を加えても接合強度の向上はほとんど認められず,Middle材やCoarse材では逆に接合強度が低下している.この要因を検証するため,せん断試験前の試験片を対象として接合部の断面観察を行った.代表的な断面観察結果を図10に示す.図10より,基材加振なしの場合でも,ABS樹脂はAl合金基材凹部に十分に侵入しており,また,接合面全面にわたってABS樹脂とAl合金は良好に接合されている.一方,基材加振を加えた場合,ABS樹脂はAl合金基材凹部に十分に侵入しているものの,接合界面に隙間が形成されている.一般に,溶融積層造形法においてはノズルと基盤間のすきま,いわゆる,クリアランスが大きくなりすぎると正常に定着しないことが知られている.表面に凹凸が存在するレーザー溶融材では凸部に合わせてクリアランスを設定するため,平均高さPc(Middle材とCoarse材で50 -60μm程度)分だけ凹部では実質的なクリアランスが大きくなる.したがって,構造サイズの大きなMiddle材とCoarse材では,加振によるノズル距離の変動に伴い造形時の実質的なクリアランスが大きくなったため接合不良が生じ,その結果として接合強度が低下したものと考えられる.また,図10に示すように,基材加振を加えると接合強度のばらつきが大きくなっているが,この要因も基材加振によるクリアランスの変動に起因するものと考えられる.なお,表面の凹凸が比較的小さいFine材では凹部におけるクリアランスの増加が抑えられたため,接合強度の低下が抑制されたものと思われる. 図9■せん断接合強度に及ぼす基材加振の影響 本研究では,Al合金基材にABS樹脂を直接三次元造形する技術の確立を目指し,高接合強度を有する表面性状を検討した. 得られた知見を以下に示す. レーザー溶融処理による金属表面の粗面化は,構造内部 度をもたらす.一方,造形時の加振は,陽極酸化材では微細孔構造の過度の成長による樹脂の濡れ性低下に伴う接合強度の劣化を低減するが,レーザー溶融材では接合強度の向上に寄与しなかった. − 317 −

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