天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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キーワード:アディティブマニュファクチュアリング,せん断接合強度,レーザー溶融処理 のABS樹脂フィラメントを用いた.フィラメント径は1.75 mmで,造形時の推奨ノズル温度は230~260 ℃である.一方,金属基材にはAl合金板A5052を用いた.基材形状は,20 mm×20 mm×厚さ3 mmとし,表面の処理方法にはレーザー溶融処理を用いた. ■本研究では,レーザーによる粗面化処理により構造サイズの異なる3種の表面状態を有するAl合金基材を準備した.処理後の表面状態を図1に示す.図1に示すように処(a) Fine基材,(b) Middle基材,(c) Coarse基材 図1■Al合金のレーザー溶融処理状態: 的に活用されている.また,三次元積層造形技術により従来の加工法では製造できない複雑形状かつ高品質な製品の製造が可能となっている1).一方で,耐熱性や強度特性の問題から樹脂材料単体では構造部材として設計条件を満足しないことも多々あり,ボルト締結や接着技術により金属部材と複合化して活用されている.しかし,そのような場合,二次加工が必要なことも多く,コスト低減や軽量化の妨げとなる.以上のような課題を解決するため,“金属への樹脂直接造形技術”の着想に至り,これまでに,熱溶融積層法によりAl合金上に直接ABS樹脂を接合造形したABS樹脂/Al合金接合体に対して接合強度に及ぼす造形条件の影響を検討した2).その結果,直接造形ABS樹脂/Al合金接合体の主要な接合メカニズムはアンカー効果であること,接合強度に対しては造形時の基材温度が重要であることを明らかにし,最適な造形条件を提示した.しかし,接合強度に及ぼす金属表面性状の影響については検討が不十分であった.一方で,金属表面テクスチャリングを施してアンカー効果を増大させることにより,樹脂そのものの強度と同程度の接合強度が得られる事例も報告されている.直接造形接合においても,その高接合強度化を目指すうえで,金属表面テクスチャリング技術は有益と考えられる.一方で,レーザー溶接や射出成型では樹脂を溶融し流動性を高くすることが可能であることからアンカー効果の発現は比較的容易であるのに対し,3熱溶融積層法では樹脂の過度な流動性は造形形状精度の低下を引き起こすため,造形精度を保ちつつ金属凹部への樹脂の侵入を最大化することは容易ではない.したがって,低流動性樹脂の金属凹部への侵入を促進し,高接合強度を発現させる技術の確立も重要である. 以上の背景に鑑み,本研究では,金属表面に樹脂を直接三次元造形する技術の確立を目的とし,レーザー処理による金属表面テクスチャ技術を援用して,金属表面に直接造形した樹脂の界面強度に及ぼす金属表面性状の影響を調査した. 2.実験方法 ■ ・■■試験片作成方法■■直接接合に用いる樹脂には,熱溶融積層3Dプリンタ用1.背景と目的 ■輸送機器等の構造材には軽量化の目的から樹脂が積極千葉大学■大学院工学研究院■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■ ■■■■ ) 准教授■山崎■泰広■理条件によって基材表面の状態は異なるが,いずれも複雑な粗面構造となっている.一般的な表面粗さ計による定量化が困難であったため,本研究では試験片断面のSEM写真を用いて表面粗さを評価した.画像の長さ・面積の測定にはImage Jを用い,評価長さを1.1±0.2mm とした際の算術平均粗さPa,平均高さPc,凹凸の平均間隔PSmを測定した.3箇所で測定した際の平均値を表1に示す.以下,各試験片をFine基材,Middle基材, Coarse基材と呼ぶ. − 314 − レーザー表面処理による直接造形■■■樹脂/■■合金接合体の■接合強度向上■

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