天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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キーワード:ナノ粒子,プラズマ,超臨界流体 用されている。その中でもレーザー支援による機能性ナノ材料の製造は最も重要な方法の一つである。レーザーアブレーションは、レーザーをエネルギー源として標的固体の一部を切除する技術であり、固体表面の特定の位置に非常に高いエネルギーを集中させ、光を吸収した物質を蒸発させる手法である。吸収固体の原子を除去する過程では、単一光子プロセス(化学結合の切断)だけでなく、多光子励起(熱蒸発)も起こりうるため、高純度のナノ粒子を生成することができる■■■。レーザーアブレーションプロセスにおける粒子生成のメカニズムは以下の様に考えられている。まず、固体ターゲットの表面にレーザーを集光し、ターゲット物質を蒸発させると、照射スポットの温度が急速に上昇する。蒸発した種(原子やクラスター)と周囲の分子との衝突により、発光、電子状態の励起、電子やイオンの生成などが起こり、レーザー誘起プラズマプルームが発生する■ ■。レーザーパラメータ、ターゲット材料、周囲環境(真空、ガス、液体)、周囲温度、圧力など、プロセスにおけるパラメータはすべて、発生するプラズマプルームの性質に影響を与える。■■■■■■■■ら■■■は、モンテカルロシミュレーションにより、レーザー誘起プラズマプルームに対する雰囲気ガスの性質と圧力の影響を研究し、雰囲気媒体として異なるガス(アルゴン、クリプトン雰囲気)を利用した場合に大きな違いがあることを発見している。■周囲環境は、作製されたナノ材料に大きな影響を与える可能性がある。黎明期では■■■■年以降■■■■■ら■■■は薄膜を作製するために真空チャンバー内でのパルスレーザー堆積法を研究してきた。パルスレーザー堆積法では、超高真空雰囲気下あるいは希薄ガスの存在下でターゲット固体から材料を蒸発させてプラズマプルームを発生させ、その後基板上に堆積させて薄膜に変化させる。この方法は、金属多層膜、セラミック酸化物、多結晶体、窒化物など、結晶性に優れたさまざまな薄膜の作製に成功している■■■。薄膜の作製に関しては、他の方法(有機金属化学気相成長法、分子線エピタキシー法)に比べて、パルスレーザー堆積法は比較的安価で実施可能であり、作製された製品の結晶品質も高い■■■。■近年のナノテクノロジーの進展により、レーザーアブレーションはナノ粒子の製造に広く利用されている。通常レ1.研究の目的と背景 ■ナノ粒子の作成には、さまざまな製造方法とツールが利名古屋大学■大学院工学研究科■物質プロセス工学専攻■■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■ ■■■■ ) 助教■神田■英輝■ーザーアブレーションは真空チャンバーと組み合わされる。■■■■■■■ら■■■は真空中でシリコンターゲットにレーザーを照射し、■■ ■■■■のシリコンナノ粒子の生成に成功している。しかし真空中でのレーザーアブレーションがナノ材料の調製に適した方法であることは別として、この方法の特徴は主に、作製したナノ粒子のサイズと濃度分布が広いことである■■■。ここでアルゴン、ヘリウム、窒素などの希薄ガス中でのレーザーアブレーションは、製造速度を向上させ、製造された銀ナノ粒子のサイズを小さくすることができる■■■■。その結果、ガスの種類と圧力を適切に選択することで、■■ ■■■■の範囲で銀ナノ粒子を作製・制御できる。銀ナノ粒子の平均サイズは、環境ガスの分子量が大きくなると増加し、ガス圧が高くなると減少する。このような真空や雰囲気ガス中でのレーザーアブレーションに関する様々な研究の後、雰囲気媒体を液体に変更する試みが為された。■■■■■ら■■■■は、■■■■年に初めて液体中のレーザーアブレーションを利用して、純鉄のターゲット材をアブレーションして酸化鉄の準安定生成物を作製することを報告した。液中レーザーアブレーションはよりクリーンでシンプルなプロセスであると考えられている。液体媒体の性質は、ナノ粒子の作製に大きな影響を与え、例えば■■■■■■■ら■■■■は、アセトンや蒸留水と比較して、レーザーアブレーションプロセスの環境媒体としてエタノールを使用すると、より小さなナノ粒子の生成と狭い粒度分布が得られることを発見した。このように多くの研究者により、蒸留水■■■ ■■■■■、アセトン■■■■■■■■■、ドデシル硫酸ナトリウム■ff■■■■溶液■■■■■■■■、ポリビニルピロリドン■ff■■■■溶液■■■■■■■■■、液体窒素■ ■■■、エタノールおよび塩化エチレン■■ ■■ ■■■でのレーザーアブレーション処理が研究されている。■液相中での特異なレーザーアブレーション処理を背景に、本研究では超臨界や亜臨界といった高圧媒体中でのレーザーアブレーション処理を着想した。物質の臨界点とは、気相■液相間の相転移が起こりうる飽和蒸気圧曲線の温度および圧力の上限である。臨界点では分子レベルでは気体のようにランダムでありながら非常に高密度に分子が存在する領域と、液滴のような高密度状態がクラスター状に点在する領域が混在している。これらの二つの領域は、気体相当の激しい拡散現象により混合して巨視的には単一相となっている。臨界点では、気液の界面張力に相当する− 309 − 超臨界レーザーアブレーションによる ナノ炭素被覆技術の開発

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