天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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ズ20mm×30mm程度の水晶板を、温度約300℃の条件下で約5トンの加圧処理を施すことで、反転構造を形成可能であることを確認した。QPM構造のグレーティングベクトルは結晶Y軸に並行となる配置で作成可能であることを確認しており、水晶の非線形光学特性に適したQPM構造が形成できた。なお、ここで確認した構造周期124 µmとは、SHGによる波長532nm緑色光用基本周期42 µmの3倍(m = 3)にあたる3次QPM構造である。■■その一方で金属製スタンプは、より短周期構造への適用 6.結論 ■新たな高耐久性高機能波長変換素子の実現を目的とし、■5.検討 ■ここまでは主にQPMスタンプ法に必要な機器やその条件に主眼を置いて結果を示してきた。しかし実際のスタン 図9■短周期スタンプで実現したQPM構造 が困難であるという結果も得られた。ダイシングソーを利用するため、そのブレード幅より短い構造への対応が不可能であるためである。 ■本研究でのQPM水晶の目的は紫外光源への適用である。これには短周期QPM構造形成が必要不可欠であるため、この後はより短周期構造への対応可能なフォトリソグラフィー+エッチング処理によるスタンプ作成に変更することとした。 ■なお本研究では実施しないが、例えばテラヘルツ波用QPM水晶では必要なQPM構造も長周期化するため、このダイシング加工によるスタンプ作成も有用であることを明記する。 ■■・ ■短周期スタンプによる反転■■図9は、フォトリソグラフィー+エッチング処理で作成した短周期スタンプ( = 41 µm)を利用して実現したQPM構造の一例である。■■こちらも金属製スタンプの場合と同様に、エッチング処理により可視化されたQPM構造が確認でき、その周期は短周期化されたスタンプ構造に応じ41 µmとなっている。その一方で、反転/非反転が整然と並んだ領域に加え、パターンの潰れたベタ領域や、反転できていない不均一領域が存在することもわかる。これらはスタンプ処理の条件検討が不十分な結果であり、QPM水晶実現にはより詳細な条件探索が必要であることも明白となった。■プ処理にあたっては、メーカーや用途など、異なる特性を示す水晶材料毎の違いもまた顕著であった。即ち、同一条件でのスタンプ処理であっても、反転の可否特性が異なる水晶が存在するとこを確認した。これは原材料である水晶結晶自体に反転容易性の違いがあることを意味している。 ■現時点でその理由は不明であり、材料特性に立ち戻り評価を行っている。図10はその評価の一例として検討している水晶板の透過特性の違いである。異なるメーカーの水晶板で、紫外吸収端透過特性が大きく異なることが分かる。ここでは紫外側吸収端付近の特性のみを示しているが、これと併せて3ミクロン帯透過特性なども検討している。これらと反転容易性との関係を今後検討する予定である。 水晶を材料とした擬似位相整合素子の研究を実施している。特に本助成研究では、QPMスタンプ法における重要部位であるQPMスタンプの短周期化、およびこれによる短周期QPM構造形成の実証を行った。 ■今後は、実際のQPM素子とのしての光学実験評価を実施する予定である。これと並行して、材料毎の反転容易性の差異を、材料特性に立ち戻り評価検討する計画である。これらを継続することで、新たな波長変換素子であるQPM水晶の実現と、これを用いた高輝度紫外パルス光源の構築につなげたい。 ■■本研究実施にあたり、公益財団法人天田財団より研究開発助成ff■■■ ■ ■ ■■■■ ■のご支援を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。■ 1) H. Ishizuki and T. Taira, “Half-joule output optical-parametric oscillation by using 10-mm-thick periodically poled Mg-doped congruent LiNbO3,” Opt. Express, 20, 18, 20002-20010 (2012). 図10■水晶の紫外域透過特性比較 謝■辞 参考文献 − 307 −

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