図2 位相能動整合コヒーレントビーム結合 本研究では、位相受動整合コヒーレントビーム結合のためにサニャック干渉計を用いる(図3)。PBSより分けられたP偏光とS偏光のビームをそれぞれ増幅後、ふたたびPBSにより合波される。それぞれのレーザーパルスが同じ光路を通ることになるため、位相が自動的に一致する。そのため位相制御装置が不要となり、位相能動整合では不可能な低い繰り返し周波数のレーザーにも適用できる。 図3 位相受動整合コヒーレントビーム結合 2・2 実験系の概要 本研究では、PBSとミラーから構成されるサニャック干渉計2つを用いてビームを4分割する完全受動コヒーレント結合を行う。実験系の構成を図4に示す。レーザーパルスは図面左上から下に向かって入射した後、1/2波長板によってP偏光となり、2枚のミラーを用いてアパーチャーA1、A3を結ぶ光路を伝搬する。この光路をメインラインと定義する。この直線光路を実験系の調整基準とする。レーザーパルスはA1透過後PBSを通過し1/2波長板によって偏光が45°回転させられる。この偏光状態の操作によって1つ目のサニャック干渉計でレーザーパルスは2パルスに等分される。S偏光のパルスはM3、M4によって反射した後メインラインへと戻る。メインラインへのパルスの復帰はM3、M4の角度を光がアパーチャーA2、A3を通るように調整することで担保される。復帰の後、S偏光のパルスはP偏光のパルスよりも長い光路長を伝搬しているため2つのレーザーパルスの時間位置にずれが生じ、レーザーパルスの時間的な分割が可能となる。 2つのレーザーパルスの偏光をファラデーローテータで90°、波長板で45°、それぞれ同じ方向に回転させた後、2つ目のサニャック干渉計に入射する。ここで用いたファラデーローテータはファラデー効果で45°、 内蔵する旋光子で45°させるものである。この時2つのレーザーパルスはそれぞれP偏光成分とS偏光成分を等しくもっているために2つ目のサニャック干渉計で等分され、合計で4つのレーザーパルスが干渉計内を伝搬することとなる。2つ目のサニャック干渉計で空間的に分割された各レーザーパルスは、干渉計内を右回り、左回りする2つのパルスは共に1/2波長板で90°偏光を回転させる。これによって再びPBSに入射した際にパルスが4つから2つへと結合するだけでなく、それぞれ光学系を戻るように伝搬することとなる。2つ目の干渉計透過後、ファラデーローテータを通過する光は偏光角が変化しない。これはファラデーローテータ内での偏光操作が打ち消されるためである。そのため、1つ目の干渉計に入射する時は往路とは90度ずれた偏光状態でいることになる。そのため往路で時間位置が先行していたパルスに時間遅延が加わり、2パルス間の時間遅延が補償され時間的に結合し単一パルスが生成される。便宜上、2つのサニャック干渉計のうち、時間的分割を担うものを1stサニャック、空間的分割を担うものを2nd サニャックと呼ぶこととする。 図5に本研究でCBC固体レーザー増幅の実証に用いた多重パス光学系の概略図を示す。 この増幅光学系では前段のデュアルサニャック光学系で4分割したパルスをそれぞれ4回ずつ、励起されたチタンサファイア結晶に入射させることによって増幅を行う。 2nd サニャック干渉計とは図4右下のフリップミラー(M8、M9)を用いることで接続できる。 励起レーザーには、波長532 nm 、パルス幅0.3 ns、繰図4 デュアルサニャック干渉計を用いた 位相受動整合コヒーレント結合光学系 図5 多重パス増幅器 − 290 −
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