図1に,フェムト秒レーザーを用いたGHz バーストモードアブレーション実験装置の概略図を示す.アブレーショ キーワード:フェムト秒レーザー,GHzバーストモード,微細加工 レーザーのパルス幅が電子から格子へのエネルギー伝達時間よりも短いため,レーザーブレーション領域周辺の熱影響部(Heat-Affected Zone: HAZ)の形成を抑制し,マイクロスケール,さらにはナノスケールでの高品質で高精度な加工を実現することが知られている1-3).また,非常に高いピーク強度により,レーザー光を透明材料に対して効率良く多光子吸収を誘起させることによって,強い吸収を生じさせることができる.近年,数百ピコ秒の極短い時間間隔をもつフェムト秒パルス列(イントラパルス列)で構成されているGHzバーストモードを用いたフェムト秒レーザー加工は,従来のフェムト秒レーザー加工を超える高品質,高効率加工を実現し,その応用が期待されている4-15).GHzバーストモードフェムト秒レーザーパルスを加工対象となる材料へ照射した場合,従来のフェムト秒レーザーパルスの照射方式(シングルパルスモード)と比較して,レーザー照射による急峻な加熱・冷却を抑制したアブレーションを誘起する特徴をもつ.Ildayのグループによって実施されたGHzバーストモードによるフェムト秒レーザーアブレーションの報告では,レーザーパルスで発生した熱が加工領域外に拡散する前にターゲット材料をアブレーションし,蓄積された熱の大部分をアブレーション1.はじめに フェムト秒レーザーを用いたレーザーブレーションは,国立研究開発法人理化学研究所 先端レーザー加工研究チーム (2019年度 一般研究開発助成 AF-2019224-B3) 図1 GHzバーストモードフェムト秒レーザー加工装置の概略図. 研究員 小幡 孝太郎 された材料とともに除去する(アブレーション冷却)ことで,熱影響の少ない高品質のアブレーションを実現すると述べている4).さらに,GHzバーストモードによるアブレーションでは,アブレーション効率が向上する(1桁以上)ことも示している.これらの成果は,レーザーマイクロ・ナノプロセッシングの分野に大きな影響を与え,複数の研究グループがこれに追随してGHzバーストモードによるアブレーションの研究を加速させている4-15).本研究では,GHzバーストモードアブレーション加工技術の実用化を目標として,金属加工へ応用した場合の加工効率と品質に関する研究結果を報告する. 2.実験方法 ンは,中心波長1030 nmのYb:KGW高出力フェムト秒レーザーシステム(Light conversion Ltd., Pharos,パルス幅: 220 fs)から得られた超短パルスレーザーを用いて行なった.本フェムト秒レーザーシステムでは,一定の繰り返し周波数を持つ通常のフェムト秒レーザーパルス(シングルパルスモード)と同一の波長とパルス幅を持つGHzバーストモードフェムト秒レーザーパルス(GHzバーストモード)を装置構成の変更をすることなく発生させることができる.− 277 − GHzバーストモード超高繰り返しフェムト秒レーザーパルスを 用いたレーザー加工技術の開発
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