天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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− 25 −塑性加工塑性加工AF-2019032-B3一般研究開発助成AF-2019033-B3一般研究開発助成塑性加工酸化スケール,熱伝導率,構造rie-endo@shibaura-it.ac.jp塑性加工,レーザー加工高張力鋼板,曲げ加工,レーザ局所加熱,疲労寿命rhino@hiroshima-u.ac.jp芝浦工業大学 工学部 材料工学科 准教授広島大学  大学院先進理工系科学研究科  准教授遠藤 理恵日野 隆太郎熱間圧延工程において生成する酸化スケールの熱伝達特性に対する構造と雰囲気の影響高張力鋼板曲げ加工部の残留応力と疲労寿命に及ぼすレーザ局所加熱の影響鋼の熱間圧延工程では,高温であるために鋼は瞬時に酸化されて表面に厚さ数10 µmの酸化スケールがある状態で圧延,冷却されている。したがって,鋼の圧延を高精度に行っていくためには,表面の酸化スケールの存在を考慮する必要がある。本研究では,酸化スケールの構造に着目して,見かけの熱伝導率を評価することを目的とした。試料にはアルミナ溶射膜を付けた鋼板(SUS304)を用いた。溶射条件をかえて,空隙率の異なる2つのサンプルを作製した。熱浸透率測定にはホットストリップ法を用い,熱拡散率測定にはレーザフラッシュ法を用いた。熱浸透率と熱拡散率の測定は,大気中,アルゴン中,真空中で室温において行った。測定した熱浸透率と熱拡散率からアルミナ溶射膜の熱伝導率を求めた。空隙が多くなるほど熱伝導率は小さくなる。見かけ熱伝導率に対する空隙中のガス種の影響は小さく,構造や空隙率が見かけ熱伝導率を変化させることが分かった。強度レベルの異なる3種の高張力鋼板について,V曲げ加工後に曲げ部外側表面に対してレーザ局所加熱を行うことで,残留応力を低減させ曲げ疲労寿命を向上させることを試みた.レーザ局所加熱により少なくとも低サイクルでの曲げ部疲労寿命は向上した.本研究の範囲内では,曲げ疲労寿命の向上効果が最大となる最適レーザ出力は100 W,最適スキャン速度は500 mm/min(レーザスポット径は0.4 mm)であった.一方で高サイクルでの疲労寿命は加熱によりかえって低下する場合もあった.V曲げ加工部外側表面に対するレーザ局所加熱により,曲げ部内側表面の引張り残留応力の低減,曲げ部外側の硬化層の形成,結晶微細化などが生じ,これらが曲げ部疲労寿命に対して複合的な影響を及ぼすと考えられる.複数の影響因子のうちどれが支配的な影響を持つかはレーザ局所加熱条件や曲げ疲労試験条件により変化するものと考えられる.

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