図1■有限要素解析モデル ■き裂先端のエネルギ解放率GをVCCM法(virtual crack closure method)を用いて求めた5).エネルギ解放率はき裂閉口に要するエネルギより求まるので,き裂先端開口側の2節点変位と,それらの節点力と等価な節点力として,き裂先端およびそれの一つ前方の節点力から求めることができる. 3.有限要素解析結果■■押込み荷重P=50Nにおける,ノッチ長さaと,せん断エネルギ開放率G2を全エネルギ開放率Gで除した無次元化せん断エネルギ開放率の関係を図2に示す.無次元化せん断エネルギ開放率はパンチBの方が高い. キーワード:パルスファイバレーザ,溶射エンジン,はく離強度評価 基材厚さB2=2mmとした.パンチは六面体のパンチAおよび,皮膜上面に接するように延長したパンチBの2種類とし,それらを左側から変位制御で押込んだ. (a)■パンチA (b)■パンチB 流となっているが,ピストン摺動部は鋳鉄製ライナが埋込まれている.しかし,鋳鉄製ライナは重く,また厚さがあるので冷却性にも劣り,自動車メーカーで取り組まれているエンジンのダウンサイジング化,軽量化のネックとなっている.■この問題を解決するため,鋳鉄製ライナをなくしたエンジンの開発が検討されており,溶射により薄膜をシリンダ表面に吹き付けることが検討されている.しかし,溶射膜をアルミニウムに直接吹付けたのでは溶射膜がはく離するので,ブラストによる界面粗面化処理が行われる.しかしこれには,①前処理品質(ブラストの不均一,ブラストメディアの基材埋没,表面硬化割れ),②界面凹凸形状の自由度が低さ,および制御性が低いことによるはく離強度の低さおよびばらつき,③環境負荷(砂や粉塵の飛散,廃棄メディアの大量発生)がある.これら問題を解決するため,パルスファイバレーザによる界面の粗面化を検討する.パルスファイバレーザ処理では,上記①,③の問題は生じない.また,②に関しても,レーザを用いることにより制御性よく界面凹凸を作成できるので,はく離強度を向上させ,かつばらつきを低下させる可能性が高い.■■一方,溶射エンジンは,円筒内面に溶射されるので,このような用途に適したはく離強度評価法を用いる必要がある.溶射皮膜のはく離強度評価法は各種提案されているが■■■■■,本研究目的に適した方法はないようである.■■そこで本研究では,パルスファイバによる前処理方法の検討および,溶射皮膜の最適なはく離強度評価法の検討を行った.■ 2.有限要素解析■■はく離強度評価法検討のため,3次元弾塑性有限要素解析(FEM, MARC2016■エムエスシーソフトウェア(株)製)を行った.解析に用いたモデルを図1(a)および(b)に示す.モデルは六面体8要素で作製した.皮膜は鉄系粉末XPT512とし,ヤング率は後述の引張試験により測定した750GPaとした.基材は鋳造用アルミニウム合金(ADC11)とし,塑性域を直線硬化材で近似した.ヤング率,塑性係数および降伏応力は,文献値より,それぞれ71GPa,4.57GPa,150MPaとした.皮膜と基材界面には長さaのき裂を導入した.パンチは超硬合金(ヤング率570GPa)とした.幅b=1mmとし,長さl=2mm,膜厚B1=115μm,1.研究の目的と背景 ■自動車エンジンでは,軽量化のためアルミニウム化が主福山大学■機械システム工学科■( ■■■年度■一般研究開発助成■■■■ ■■■ ■■■■■) 教授■加藤■昌彦■− 239 − パルスファイバレーザ加工による溶射皮膜のはく離強度の最適化
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