に キーワード:トライボロジー,その場観察,マイクロ塑性流体潤滑■ えた.そこで,本研究では表面に圧痕を付与したはんだ板の圧延界面のその場観察を行って,再潤滑機構を調査した. この圧延法の原理を図1に示す.■本のロール(固定ロール)が回転せずに空間に静止していることを特徴とする.そして,もう■本のロール(移動ロール)は自転しながら固定ロールの周りを公転する■■図1では,移動ロールは時計回りに自転しながら固定ロールの周りを時計回りに公転し,被加工材である板材は固定ロールと移動ロールの間のギャップで,幅方向を回転軸として時計回りに回転しながら圧延が行われる.図2は移動ロールの公転角■よって変化する両ロールと板の幾何学的関係を表したものである.移動ロールは図ff■■からff■■■の間に■■回転公転しff=360°),その間に 回転自転するff=720°■ことがわかる.言い換えれば,移動ロールの自転速度を公転速度の 倍と設定することで板材とロールの相対的な幾何学的関係は通常の圧延と等しくなる.なお,固定ロールと移動ロールの幾何学的関係は,天動説における地球と天体の関係に類似している.■固定ロールが回転することなく空間に静止していることは天動説型圧延法の最大の特徴である,したがって,固定ロールに透明材料を用いたり観察窓を設けたり,あるいは放射線を透過させることで,圧延界面のその場観察が可能となる.その際に,カメラを圧延機外に設置することも可能であり,その場合には振動,いわゆる手ブレ,の影響を受けないため鮮明な画像を得ることができる利点もある. 図1 天動説型圧延の原理. 1.緒■言■塑性加工プロセスにおいては,加工荷重や加工エネルギーの低減,加工工具の長寿命化,加工材の表面性状の改善,加工材の内部組織の均一化などのために,適切な潤滑剤を選定し,その供給方法,供給量の最適化を図ることが求められる.そのためには,実加工条件における工具と被加工材の界面状態を把握することが必要となる.例えば,工具と被加工材の接触形態や潤滑剤の膜厚や圧力の分布,工具に対する被加工材や潤滑剤の相対速度の分布などは有益な情報である.しかしながら,界面は硬質工具の表面にあり,高い圧力と摩擦せん断応力が作用し相対的に運動しているため,直接観察を行うことは極めて困難である.したがって,加工材の表面性状や変形・負荷特性から間接的に推定したり,理論解析や数値解析を用いて予測することがほとんどである. 加工界面を直接観察した先駆的な研究として,小豆島ら1, 2)の研究が挙げられる.被加工材表面に人工欠陥として圧痕を付与し,石英ガラス製のダイスを用いて引抜き中の加工界面のその場観察が行われた.そして,潤滑剤はいったん人工欠陥に捕捉された後に,加工中に再び接触界面に浸み出して摩擦係数の低減に寄与する再潤滑機構が実証された.Bechら3, 4)は,再潤滑機構を,①潤滑剤の静水圧上昇によって前方に浸み出す静的機構(Micro-Plasto- HydroStatic Lubrication; MPHSL)と,②工具との相対速度によって潤滑剤に発生するせん断応力によって後方に浸み出す動的機構(Micro-Plasto-HydroDynamic Lubrication; MPHDL)の2種に分類した. しかしながら,これまでのその場観察は引抜き1), 3)や鍛造5, 6), 板材成形7)などに限られ,圧延についての観察は,ほとんどなされていないため再潤滑機構は未知である.圧延では,ロール周速と被加工材の相対速度の符号が中立点を境に入れ替わるため,潤滑機構も複雑であることが予想される.池ら8, 9)はロール表面に観察窓を設け,内部の反射鏡からの界面画像をネック部のビデオカメラで録画することを試みたが,ロールが高速で回転するために観察時間は極めて短く制限され有益な情報を得ることは困難であった模様である. ところで著者らは,一本のロールを空間に固定した上で,他方のロールをその周囲を自転させながら公転させ,それらの間で圧延を行う天動説型圧延機の開発を行っている10).その装置では1本のロールは回転ならびに移動することがない特徴を有しているので,ロールを透明材質とすることで内部より圧延界面のその場観察が容易に実現可能であると考大阪大学大学院工学研究科■マテリアル生産科学専攻■ff ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■■■■■■ ■■教授■宇都宮■裕■2.天動説型圧延法■− 222 −圧延界面における潤滑剤挙動の直接観察■
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