天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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キーワード:コールドスプレー,塑性変形層,粒子付着効率■ 図1 コールドスプレー法の装置概要5) 1.研究の目的と背景 機能の創出の為の鍵は,母材に混合される機能材料にある.多くの機能性材料は塑性変形が困難な脆性材料で,これら機能性材料を金属や樹脂等の延性材料中に分散して,複合材料は形成される.これら複合材料は脆性な機能性材料と塑性変形が可能な金属等を混合し,混練溶融後に型に流し込んだり,混合粉を焼結する等を経て作製される.一方で熱に弱いカーボンナノチューブ(CNT)等の機能性材料を含む複合材料を作製する場合,作製過程で,機能性材料が劣化する1).このため,溶融や焼結といった“加熱工程”を排除した複合材料の新たな作製プロセスが必要となる. この様な手法の一つとして,金属粒子の基材への衝突による塑性変形により,露出される新生面の固相接合による粒子堆積を利用したコールドスプレー法による複合材料厚膜の形成が考えられる2-6).コールドスプレー装置は,図1に示す構成で,作動ガスをラバルノズルで超音速まで加速し, この超音速流に粒子を載せ, 基材や堆積物表面に粒子を衝突させて塑性変形させる事で,粒子を堆積させて,数cm 厚の膜を形成できる高速に粒子を堆積する5). この手法では,基材への金属等の塑性変形可能な粒子が基材や先に堆積した膜に衝突する際,粒子が塑性変形して新生面が露出し,固相接合して堆積する.一般にこの粒子速度は,材料に依るが300~1200 m/sの超音速であり,この速度で粒子が飛翔し,基材に衝突した場合に粒子が塑性変形し,堆積する6,7).この時,脆性機能性材料と塑性変形が可能な粒子を,同時に超音速で基材に衝突させて,金属等からなる母材粒子を塑性変形させて堆積させると共に,脆性な機能性材料をこれら粒子が巻き込む事で,膜内に機能性材料を導入し,熱損傷を抑制しながらmm~cm厚の複合材料厚膜を得ることができる8,9). 2 種類以上の材料からなる複合材料おいて,目的とする東京工業大学■工学院機械系■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■■■■■■ ) 准教授■赤坂■大樹■一方で,これら脆性な機能性粒子と塑性変形による粒子付着を担う金属などの粒子の単純混合では,機能性粒子の混合濃度を上昇させると堆積効率が低下する.例えばCNT等の脆性な機能性材料が衝突時に塑性粒子の付着を阻害し,堆積効率を低下させる.更に機能性材料は阻害後に堆積せず,基材表面で跳ね返される.これらの事から,粒子の基材への衝突時に衝突面に塑性変形しない脆性な機能材料が入らない状況が堆積効率の向上に必要である. そこで,本研究は金属塑性変形相を表面側に有する脆性粒子を調整し,コールドスプレー法による機能性複合材料の堆積効率の向上を試みた.この脆性な機能性粒子の表面側に塑性変形が可能な金属相を,メッキで予め担持させることで,衝突時の金属層の塑性変形による粒子同士の固相接合を促すと共に,膜中への機能性材料の導入することを目的とした. 2.実験方法  ・■■金属層を表面に有する機能性粒子を調整■本研究では機能性材料として平均粒径1.2 mの球状窒化アルミニウム粒子(Hグレード,AlN:トクヤマ製)及び平均粒径1.5 mの炭化タングステン粒子(12070-12-1, WC:高純度化学研究所製)を用いた.これら粒子表面に無電解メッキ法によりニッケル,若しくは銅層を形成した.このニッケル層形成では,ニッケルメッキ溶液に硫酸ニッケル塩を含む金属塩溶液のシューマ液:SEK-797-1(日本カニゼン株式会社製)と濃度100 g/Lの次亜リン酸ナトリウムを含む還元剤溶液:SEK-797-2(日本カニゼン株式会社製)の混合液をメッキ液とし,メッキ液中の硫酸ニッケル濃度を調整して,無電解メッキを行った.銅層の形成ではメッキ液を試薬から調整した.蒸留水0.2 lに硫酸銅(CuSO4・5H2O, 99.0%:関東化学製),ホルムアルデヒト(HCHO, 37%:富士フィルム和光純薬製),エチレンジアミン四酢酸-二ナトリウム塩(EDTA・2Na, 99.5 %:富士フィルム和光純薬製)を混合後,水酸化ナトリウム(NaOH, 93.0%:和光純薬製)を,pHが11になるまで添加してメッキ液を調整した.この時,硫酸銅濃度を変化させることで銅イオン濃度の異なるメッキ液を複数調整した.無電解銅メッキではWC粒子等には銅層の直接形成が困難であったため,ニッケル層を形成した後に,これらのメッキ液を用いて薄く,ニッケル層を形成後,銅層を形成した.これら2種類のメッキ液を− 216 −塑性変形相を有する脆性粒子の超音速投射による 高濃度機能性材料含有複合材料の形成

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