天田財団_助成研究成果報告書2023_2
182/472

数 係擦 摩 同図より,微粒子衝突による塑性加工を施していない母(噴射圧0.6MPa,加熱保持時間300秒) 0 1) 総説ショットピーニング,原田泰典,表面技術, 67-1 2) ショットピーニング材の疲労強度推定と最適処理条件の検討,三林雅彦ほか,日本機械学会論文集,61-586(1995),1172-1178. 図■摩擦摩耗試験結果図■摩擦摩耗試験後の摺動部観察結果4.結論 ■・■■耐摩耗性評価試験■微粒子衝突による塑性加工を施した試験片の中で最も厚いCr拡散層を形成したseries 9(投射圧力0.6MPa,加熱保持時間300秒)に対し,ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機により摺動負荷を与え,その耐摩耗性評価を行った.また比較のため,鏡面状に研磨したS45Cについても同様の摩擦摩耗試験を行い,その結果を比較している.なお相手材(ボール材)にはSUJ2を用いた.結果を図8に示す. 材のみの試験片の摩擦係数は,摺動開始から大きく変動する不安定な摩擦係数を示し,その平均値も0.5程度と極めて高いことが明らかとなった.本実験は潤滑油を使用しない無潤滑下で実施しており,一般的な鉄鋼材料の場合,無潤滑下で摺動試験を実施した場合,摩擦によって発生した発熱によって相手材が融着し,さらにそれが剥がされることによって生じる凝着現象が繰返し発生し,摩擦係数が上下に変動する不安定な挙動を示すことが知られており,本実験でも同様の現象が起こったものと推察される.これに対して,微粒子衝突による塑性加工を施したseries 9は,摺動開始から摩擦係数0.3程度と非常に優れた摩擦係数を安定的に示し,さらに,往復摺動距離1,000 mまでこの傾向は続き,摩擦係数の急激な上昇は認められず,未処理材に見られた凝着現象は生じていないことが明らかとなった. 最後に摺動距離1,000 m摺動後の摺動部を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図9に示す.同図(a)に示す通り,微粒子衝突による塑性加工を施していない母材のみの試験片の摺動部は摺動により大きく削られ,目視でも明らかな溝形状が形成されているのに対し,同図(b)に示す通り微粒子衝突による塑性加工を施したseries 9の摺動部には,摺動に伴う痕は認められるものの,未処理材に見られたような大きく削られた溝等は確認されず,摺動幅も極めて狭いことがわかる. 以上の実験結果より,微粒子衝突による塑性加工を施し材料表層にCr拡散層を形成することにより,摺動負荷に対して高い耐久性を発現可能であることが明らかとなった. 謝■辞■参考文献 本研究では,微粒子衝突による塑性加工に注目し,Cr微粒子を用いた微粒子衝突により,材料表層にCr元素から成る拡散層を形成し,その耐食性,耐摩耗性を改善することを目指した.また微粒子衝突による塑性加工を施す際の処理条件を種々変更することにより,より厚いCr拡散層を形成可能となる処理条件についても合わせて検討を行った.その結果,微粒子衝突による塑性変形にて形成されるCr拡散層は,投射圧力が高いほど,また加熱保持時間が高いほどより厚く形成されることが明らかとなった.また,耐食性評価試験,耐摩耗性評価試験から,微粒子衝突による塑性加工を施し材料表層にCr拡散層を形成することにより,その耐食性および耐摩耗性は向上することが明らかとなり,本研究で採用したCr微粒子による微粒子衝突処理の有効性が明らかとなった. 本研究の遂行をご支援いただきました公益財団法人天田財団に深く謝意を表します. 未処理摺動距離, m(a) 未処理(b) series 9− 180 −0.70.60.50.40.30.20.102001000(2016), 2-7. 500 μm500 μmseries 9800400600

元のページ  ../index.html#182

このブックを見る