天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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■ キーワード:微粒子加工,拡散層,耐食性,耐摩耗性 ■2.実験方法 ■ ・■■試験片および微粒子衝突による塑性加工■■供試材には,一般炭素鋼S45C(調質材)を用いる.同材を円柱型試験片(直径30 mm,厚さ5 mm)に機械加工した後,エメリー紙(#180~#2000)およびダイヤモンド砥粒(φ1.0,φ0.2,φ0.1)により鏡面状に研磨し一定の表面性状を得る.その後,研磨面に対し,図3に示すCr微粒子(直径30~50 m)を用いた微粒子衝突による塑性加工を行い,Cr金属拡散層の形成を行う.その際,表1に示す通り,投射圧力(0.1MPa,0.3MPa.0.6MPa),加熱保持時間(60秒,120秒,300秒)の異なる合計9種類の加工条件にて実施する. ■■コイル酸素濃度計被処理材投射粒子真空チャンバー真空ポンプ加工前純チタン外観ガスボンベ加工後造物■電力インフラ等多くの機械・装置類の構成部品は,長期間の実用に伴い,腐食,摩耗,疲労など様々な損傷を受ける.その多くの初期損傷は材料表面で発生することが知られているため,短時間・低コストで材料極表層のみ高機能化することが可能な革新的な加工技術が求められている. ここで一般によく知られる表面処理の一つであるショットピーニング処理1)は,微粒子を材料表面に高速で衝突させることにより,材料表層に塑性加工を加え,材料表層に高硬さ・高圧縮残留応力を有する表面硬化層を形成する加工方法である.しかしながら,同処理は,主に材料の強度向上を狙った表面加工2)であり,耐食性や摩擦摩耗特性などのその他諸特性を改善することはできない.申請者は,図1に装置概略を示す通り,緻密に制御された不活性ガス雰囲気中で,材料を高周波誘導加熱により加熱しながら微粒子衝突による塑性加工を加えることにより,材料表層に投射粒子元素から成る安定金属拡散層が形成可能であることを見出した.例えば,純チタンに対し,N(窒素)化合物から成る投射粒子を用い,同加工を施すことにより,加工時間3分という極めて短時間で,純チタン表層に安定した窒素拡散層が形成可能であることが明らかとなっている(図2). ■上述したように申請者が独自に開発した「微粒子衝突による塑性加工」は,投射粒子元素から成る安定金属拡散層を材料表層に形成可能である.本研究では,材料の耐食性,耐摩耗性向上を主目的とし,投射粒子にCr(クロム)粒子を選定する.これにより,材料表層に高硬さ・高耐食性を有するCr金属拡散層を形成することを第一の目的とする.なお,優れた諸特性を長期間の実用においても安定して持続するためには,極力厚い金属拡散層の形成が必要となる.そのため,「微粒子衝突による塑性加工」を施す際の「投射圧力」と「加熱保持時間」に注目し,それぞれ3水準,合計9水準の異なる加工条件にて実施することにより,材料表層に形成されるCr金属拡散層厚さにおよぼす加工条件の影響について検討を行う.次に,「微粒子衝突による塑性加工」によりCr金属拡散層を形成した試験片に対し,塩水噴霧試験による耐食性評価試験,およびボールオンディスク型摩擦摩耗試験による耐摩耗性評価試験1.研究の目的と背景 ■自動車や航空機などの輸送機器をはじめ,機械装置■構広島大学大学院■先進理工系科学研究科■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■■■■■■ ) 教授■曙■紘之■■■電源図■■微粒子衝突による塑性加工装置概略図図■■微粒子衝突による塑性加工を施した− 177 −を実施することにより,その優れた諸特性を実験的に実証し,本研究で提案する「Cr微粒子衝突による塑性加工」技術の有用性・優位性を示すことが本研究の最終目的である. 金属微粒子による塑性加工を援用した 金属拡散層形成と高機能金属材料の創製

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