天田財団_助成研究成果報告書2023_2
177/472

A 図13 V曲げ加工後のSPFC780Y試験片の組織観察写真 A 図14 レーザ局所加熱後のSPFC780Y試験片の組織観察写真(レーザ出力150 W,スキャン速度500 mm·min−1の場合) ことがうかがえる.この組織変化が生じている範囲が,図12 (b) ▼プロットの硬度上昇範囲に対応している.熱影響部において生じている変化の詳細については現時点では分析できていないが,部分的な焼入れ,再結晶による結晶粒微細化などが生じているのではないかと考えられる. 3.6 曲げ疲労寿命に対するレーザ局所加熱の影響 以上の観察結果から,本研究でのレーザ局所加熱によって曲げ疲労寿命を向上させる効果と低下させる効果の両方が生じるものと考えられる.曲げ内側表面における引張り残留応力の減少(図11)は疲労き裂の発生・進展を相対的に遅らせ疲労寿命の向上に寄与するであろう.引張り残留応力が減少するメカニズムとしては,板厚方向の温度勾配に起因する熱弾塑性変形の影響4)や,加熱による転位の消失などが考えられる.また表面硬さの上昇(図12)や結晶粒微細化(図14)も疲労寿命の向上に寄与すると思われる. 一方,硬化層の形成(図12)により板材は高強度層・低強度層の2層構造になるが,このような2層板が曲げ変形を受けると低強度層側の表面(本研究の試験片の場合,曲げ内側表面)が相対的に早期に降伏し塑性ひずみを生じやすくなる.このことが曲げ疲労寿命にどのような影響を与えるかは未知である.またレーザ出力が高い条件では照射部表面のごく薄い層が部分的に溶融・凝固している可能性があり,これによる表面性状の変化が疲労特性に悪影響を及ぼすことも考えられる. 以上のような曲げ疲労寿命に対する影響因子のうちどれが支配的な影響を持つかは,レーザ局所加熱条件や曲げ疲労試験条件(曲げ振幅など)により変化するものと思われるが,この点については十分な検討ができておらず,引き続き調査を進める必要がある. C A B C B A B C B C − 175 −

元のページ  ../index.html#177

このブックを見る