次に組織観察結果の例としてSPFC780Y材のレーザ局所加熱前後の組織写真を示す.硬さ試験と同様に試験片中図13はV曲げ加工後の組織観察写真である.曲げ部外側表面(図中A部),板厚中心(B部),内側表面(C部)の各部の組織に大きな違いはないように見受けられる.一方,図14にはレーザ出力150 W,スキャン速度500 mm·min−1でレーザ局所加熱を行った後の組織観察写真を示すが,曲げ部外側表面のレーザ照射点から図中A部を経てB部あたりまで熱影響による組織変化が生じている図11 V曲げ加工されたSPFC980Y板のレーザ局所加熱前・後における長手方向残留応力の板幅方向分布(レーザ出力150 W,スキャン速度500 mm·min−1の場合) 図12 試験片曲げ加工部中心断面におけるビッカース硬さの板厚方向分布(スキャン速度500 mm·min−1) り硬さに変化がなく,板厚中心から離れて表面に近づくと硬度が高くなる傾向がある.この硬さの上昇は曲げ時の加工硬化によるものである.また,レーザ照射後の曲げ外側(レーザ照射側)の硬さは照射前に比べて大きく上昇しているのに対し,曲げ内側のレーザ照射後の硬さはあまり変化していないことがわかる.100 Wでの加熱(▽プロット)に比べて150 Wでの加熱(▼プロット)の方が硬化する範囲が大きく,150 Wの局所加熱では板厚中心付近まで硬くなることがわかった.これらの傾向は全鋼種に共通であった. 心線上における曲げ中心部に観察断面をとり,曲げ加工後およびレーザ局所加熱後の組織を観察した. 図は割愛するが,590MPa級鋼板SPFC590Yの残留応力は曲げ中心部内側で平均199 MPaから平均153 MPaへ減少となっており,SPFC980Yより残留応力変化量が小さかった.R止まり部ではSPFC980Yと同様に残留応力分布はほとんど変化しなかった. 3.5 局所加熱による硬さと組織の変化 3鋼種それぞれについて曲げ加工前(受け入れ材),曲げ加工後,レーザ出力100 Wおよび150 Wでの局所加熱後(スキャン速度は500 mm·min−1で統一)の計4条件における試験片のビッカース硬さ分布を調査した.試験片中心線上における曲げ中心(曲げ稜線)位置に測定断面をとり,曲げ外側表面から板厚方向に0.05 mm間隔で圧痕を打って硬さ分布を調査した.ビッカース硬さ試験の試験条件は圧子荷重を100 gf,荷重保持時間を5 secとした. 例としてSPFC590Y,780Y材の試験片曲げ加工部中心断面におけるビッカース硬さの板厚方向分布調査結果を図12に示す(SPFC980Y材の結果はこれら2鋼種と類似のため省略).同図横軸には板材表側(レーザ照射側)表面からの距離を,縦軸にはビッカース硬さをとっている.V曲げ前の硬さ分布(○プロット)は板厚方向に概ね一定で,強度の高い材料ほど高硬度であった.V曲げ後の硬さ分布(●プロット)をみると,板厚の中心部付近ではあま(a) 曲げ中心部における測定結果 (b) R止まり部における測定結果 (a) SPFC590Y試験片の場合 (b) SPFC780Y試験片の場合 − 174 −
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