3.2 疲労寿命に及ぼすスキャン速度の影響 レーザ局所加熱におけるレーザ出力を100 Wで一定としたときの,スキャン速度と曲げ疲労寿命の関係を図8に示す.3鋼種ともに曲げ変位振幅が小さい条件(黒塗りプロット)ではスキャン速度を500 mm·min−1としたときに疲労寿命が最も長くなった.一方,曲げ変位振幅が大き 図9 異なるレーザ出力条件下においてSPFC980Y試験片 3.3 曲げ疲労寿命曲線 レーザ出力を100 W,スキャン速度を500 mm·min−1とした場合について,レーザ局所加熱前後の曲げ疲労寿命曲線を図10に示す(SPFC980Y材の結果はSPFC780Y材と類似のため省略).曲げサイクル数が106を超えた時点で試験を終了している.曲げ変位の大きい低サイクル側では 図8 曲げ疲労寿命に及ぼすスキャン速度の影響 図10 レーザ局所加熱前後の曲げ疲労寿命曲線(レーザ出力:100 W,スキャン速度:500 mm·min−1の場合) ある.一方,曲げ変位振幅が大きい条件(白抜きプロット)では全体的に疲労寿命が短く,レーザ出力の変化に伴う疲労寿命の変化は小さい. い条件(白抜きプロット)ではスキャン速度の変化に伴う疲労寿命の変化は小さい. の曲げ疲労寿命に及ぼすスキャン速度の影響 全鋼種において加熱前(白抜きプロット)よりも加熱後(黒塗りプロット)の疲労寿命の方が長くなる傾向があり,レーザ局所加熱により疲労寿命が向上したことがわかる.また,鋼板強度が高いほど疲労寿命向上効果がやや大きくなる傾向が見られた.一方,曲げ変位の小さい高サイクル側ではSPFC590Y材を除く2鋼種においてレーザ局所加熱によりかえって疲労寿命が低下するという結果となった. 3.4 局所加熱による残留応力の変化 V曲げ加工された980MPa級鋼板SPFC980Yのレーザ局所加熱前・後に測定された長手方向残留応力の板幅方向分布を図11に示す.同図(a)は曲げ中心部(図5のA, D)の測定結果,同図(b)はR止まり部(図5のB, C, E, F)の測定結果である.なお,R止まり部については,BとCの平均値およびEとFの平均値を図示している. この結果から,曲げ中心部内側では,レーザ局所加熱前には大きな引張残留応力(平均461 MPa)が作用しているが,加熱後には残留応力値が大幅に減少する(平均103 MPa)ことがわかる.また,曲げ中心部外側でも加熱の影響で圧縮残留応力の絶対値が大きく減少している.一方,R止まり部では局所加熱前の残留応力値が曲げ中心部よりも小さいこと,加熱を施しても残留応力値があまり変化しないことがわかる. (a) SPFC590Y試験片の場合 (b) SPFC780Y試験片の場合 SPFC980Y試験片においてレーザ出力を100 Wおよび125 Wとしたときの,スキャン速度と曲げ疲労寿命の関係を図9に示す.曲げ疲労寿命に及ぼすスキャン速度の影響は,レーザ出力が変化しても定性的に同様であることがわかる. − 173 −
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