向 向 押出し⽅押出し⽅ (b) 絞り工具:凸形状ダイ(Convex) 0.1mm 3・2 製品表面粗さに及ぼす絞り工具形状の影響 各絞り工具形状で,製品表面粗さが工具表面粗さと同じ値以下に平滑化できた動粘度範囲(室温)は,テーパ形状の絞り工具は 71〜3336mm2/s,凸形状の絞り工具は 240〜1435mm2/s,凹形状の絞り工具は 11〜1435mm2/sであった. 図5は,各潤滑油粘度グレードにおける各絞り工具で行った加工実験後のビレット試験面押出し出口部製品平滑表面部の表面粗さ(算術平均粗さ)値の一例である.それぞれの絞り工具において,粘度の広い範囲で加工表面粗さが平面工具表面粗さ(0.05〜0.06µmRa)以下になっており,平滑な加工表面が得られた.ただし,図に示していないが,高粘度VG460 の潤滑油については,高粘度で油膜が厚く形成されるため,溝列工具による溝列部分での油膜制御が難しくなり,表面粗さを工具表面粗さ以下に維持することは難しくなった.これは,高粘度において試験面の潤滑油膜が厚く形成され,溝列部の溝による油膜制御ができなくなったためである.また,粘度グレードがVG7とVG32の低粘度における条件では,絞り工具形状によって製品性状(表面粗さ)の状態が異なってくる.低粘度条件で最も安定した平滑面を加工できるのは凹形状の絞り工具を使用した場合であった.凸形状の絞り工具の場合はVG32の条件で平面工具表面の押出し出口部付近でうっすらとアルミニウムの凝着が観察された.図6に示すように,VG7の条件では,凸形状の絞り工具の場合は押出し出口部付近に焼付きが発生した.テーパダイの場合は溝部から押出し出口部にかけてうっすらと凝着が観察された.図7にVG7の条件における押出し出口部付近のビレット製品表面写真を示す.図(a)のテーパダイと(b)の凸形状ダイ(工具焼付きのない部分)の場合,ビレット表面に擦り傷が見られる.図(c)の凹型ダイの場合はきれいな平滑表面であった. 押出し出口部付近では油膜厚さが薄くなりやすく焼付きや凝着は発生しやすい13).図4で示した変形領域内部8mm位置の相当ひずみが最も大きくなっている凸形状の絞り工具で,低粘度での油膜切れに起因する凝着や焼付き 図5 各潤滑油粘度グレードでのビレット試験面押出し出口部製品表面の表面粗さ(算術平均粗さ) が起こっていることから,絞り工具形状による塑性流動の違いによって試験面の潤滑油膜厚さを調整できる可能性があることがわかった.また,低粘度潤滑油VG7を使用したテーパダイの加工条件で発生した凝着は凹形状ダイを使用することで回避できて平滑な加工表面加工が可能になった. 図6 溝列平面工具表面写真(VG7の場合) (c) 絞り工具:凹形状ダイ(Concave) 図7 ビレット試験面押出し出口部の製品表面写真 (VG7の場合) (a) Taper (b) Convex (a) 絞り工具:テーパダイ(Taper) − 160 −
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