キーワード:押出し加工,表面平滑,アルミニウム 2.実験装置と実験方法 2・1 実験装置の概要 図1 実験装置概略図と溝列工具溝形状 図2 平面工具と絞り工具寸法 工限界の向上,加工動力の低減(エネルギー削減),金型寿命の延長(金型経費の削減)に寄与する重要な支援技術である.単位時間あたりの生産性に優れる塑性加工によって平滑な表面仕上げ加工が可能となれば,切削加工や研削加工等の最終仕上げ工程を省くことができ,加工時間の短縮や低コストにつながり,CO2 削減や環境保全等にも大きく貢献できる.アルミニウムの表面仕上げに関しては,引抜きやしごき加工において鏡面加工を行った例1),2)が挙げられるが,押出し加工(鍛造)においては表面平滑化に関する研究3)や著者らにより提案された微細溝列工具を用いた加工例4)~8)など,報告例は少ない.工具や被加工材表面に微細穴加工や微細溝加工などを施す表面テクスチャ1),9),10)を適材適所で有効に活用するためには, 金型表面—潤滑剤—加工材表面間の潤滑現象を把握する必要がある.塑性流動や加工表面に及ぼす潤滑剤の特性を把握して摩擦面の制御に利用することは,塑性加工への表面テクスチャ活用技術において重要課題と考える. 著者らは平面工具面に設けた溝列を利用した押出し加工によるアルミニウムの平滑加工について検討を行っており,加工初期に加工材の一部流入に伴い再形成される微細溝形状が,加工表面性状に影響すること,再形成される溝断面形状は使用する潤滑油の特性によって異なり,加工面の油膜形成に影響することなどを報告6),8)している.冷間加工において平滑な加工表面を成形するためには,必要最小限の油膜が工具面に施した溝部分を通過した後も確保されねばならない.潤滑油膜の形成は,潤滑油粘度,潤滑油種類,溝断面形状のほかにも,加工表面面積拡大率など,金型形状によっても影響を受ける.本研究では,溝列工具を用いた平面ひずみ押出し加工実験によるアルミニウムの平滑加工の加工条件に関して加工表面性状への塑性流動の影響と潤滑油の役割を把握するために,3種類の形状の異なる絞り工具を使用して金型内塑性変形領域における塑性流動状態が加工表面の平滑加工性に及ぼす影響を実験的に調査することを目的とする. 図1は本実験で使用した平面ひずみ押出し加工タイプの1.研究の目的と背景 塑性加工における潤滑技術は,製品表面品質,製品加鹿児島大学 学術研究院理工学域工学系 (2019年度 一般研究開発助成 AF-2019030-B3) 教授 上谷 俊平 試験装置概略図である.ダイスとコンテナは一体で,試験面となる平面工具と塑性流動を変えるための絞り工具からなる.工具材質はSKD11で,焼入れ,焼戻しを施し,工具試験表面のビッカース硬さは,760HVである.工具試験面の表面粗さは,0.05µmRa~0.06µmRaに仕上げた.絞り工具には,図2に示す絞り形状の異なる3種類の工具(テーパダイ(Taper)・凸形状ダイ(Convex)・凹形状ダイ(Concave))を用いた.金型開口部は押出比2に設定した. 被加工材(ビレット)には 80mm×15mm×5mmの寸法の工業用純アルミニウム A1050の焼なまし材(実験前のビ − 158 − 溝列工具を用いた押出し加工によるアルミニウムの 表面平滑加工と加工条件
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