キーワード:凹凸転写,圧延,軟質工具 ■ ・ ■試験片および印刷工具■図1■独自設計・製作の圧延機 硬貨などの意匠製品などに適用されている.これらの微細凹凸はエッチングや放電加工,精密切削,コイニングなどにより製作されている.微細凹凸の大面積化は機能性表面を有する素材としての活用や,生産性の向上による低コスト化に対して有効である.しかしながら,エッチング,放電加工,精密切削は製造時間やコストの問題で大面積への凹凸成形は現実的ではない.一方,コイニングは塑性加工であり,大量生産に向いているものの,金型と被加工材の摩擦の影響を受けやすい.そのため,大面積のコイニングを行うと,加工時の荷重や圧力が極端に大きくなり,加工不可能である. この問題に対し,コイニングではなく圧延加工を用いることで,容易に大面積へ凹凸転写が可能になる.圧延による凹凸転写法として,佐々木らはフォトリソグラフィ加工により圧延ロールの表面に凹凸を作製することを実現し,そのロールで圧延することで被加工材に凹凸を転写させる方法を提案している1). Kurnia,吉野らは微細加工により作られた平板状のマスターモールドにニッケルめっき後に分離して,凹凸が転写されたニッケル型を使用し,このニッケル型を純アルミニウム板材と重ね合わせて圧延する「ローラーインプリント」を提案している2). 一方,我々の研究グループは凹凸パターンを印刷した軟質材料を工具に用いた転写技術を提案している3)~5).この技術では,紙や樹脂フィルムなどにレーザープリンターで転写模様を印刷したものを工具として,被加工材と重ねて圧縮することで凹凸を転写する.そのため,従来の凹凸成形技術より短時間かつ安価に工具を作製でき,模様の変更も容易である.この方法を圧延加工に適用すれば,ロールの周長によらず長い凹凸の転写も可能となる. そこで,本研究ではこの軟質材料を用いた凹凸転写技術を圧延加工に適用し,大面積への凹凸転写を試みる.圧延加工ではロールのたわみによる板厚の分布や,材料の異方流動が発生することで転写の挙動が変化することが予想される.印刷工具を用いた場合の各種圧延条件が凹凸の転写精度や均一性に及ぼす影響について検討する. 2.実験方法 ■ ・■■実験装置■■本実験で使用した圧延機を 図1 に示す.本圧延機は独自に設計,製作したものである.最大圧延荷重は80 kN,1.研究の目的と背景 ■微細凹凸は撥水性や防汚性などの機能性表面の付与や,名城大学■理工学部■機械工学科■( ■■■年度■一般研究開発助成■■■■ ■■■■ ■■■■) 准教授■吉川■泰晴■最大ロール回転数は11.1 rpmで,直径40mmと80mmのロールが取り付け可能である.ロールの幅は120 mmである.ロールギャップは左右の圧下量調節スクリューにより0〜40 mmの範囲で調節が可能である.ロールの下部には左右にロードセルが設置されており,左右のチョックを介して圧延荷重が測定できる.ロールの材質は焼入れ焼戻しを行ったSKD11で表面は鏡面仕上げとし,その算術平均粗さはRa = 0.005 mである. 試験片は幅 100 mm,長さ 50 mm,厚さ 0.965 mm の純アルミニウムA1050-Oと幅50 mm長さ50 mm,厚さ公称1 mmの冷間圧延鋼板SPCCを使用する.SPCCについては,凹凸を転写する面は研磨により算術平均粗さSa = 0.1 µm程度,裏面は素材のままでSa = 0.4 µmとなっている.流動応力はA1050-O が = 165(0.0002+)0.30 SPCC が = 568(0.02+)0.22である.降伏応力(耐力)はA1050-O が24.6 MPa,SPCC が218.2 MPaである.凹凸転写時の圧延方向は素材の圧延方向と同じ方向とする.アセトンによる脱脂洗浄を行い,実験に供する. 印刷工具の基材にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12,25,38,75,100 µm),アルミニウム箔(厚さ11,25,40,60 µm)を用いた.薄いフィルムは単体で印刷するとプリンター内での詰まりを起こすため,普通紙に貼って印刷した.レーザープリンターで図2に示すような線幅0.6 mm,ピッチ2.6 mm の格子模様を印刷する.ロールギャップの影響を調べるときは全面に,ロール直径の影響を調べるときは中央部と端部に格− 152 −軟質工具を用いた高精細かつ大面積転写技術の開発 ロールロードセル(内部)モーター
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