天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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■■■■■■■■■■■3・3■対称試験片の力学特性■■図8に対称試験片の実応力―対数ひずみの関係を示す.応力とひずみは各材料の部分的な伸びと幅の減少量から計算した.図には計算した実応力と対数ひずみを5%の伸びごとにプロットし,0,45および90の実応力―対数ひずみ曲線を参考として示している.■この図から,実験点は材質に関係なくおよそ応力レベルが低い曲線上にあることが分かる.ただし,詳しく見ると45の実験点は曲線よりも若干上方に位置している.基本的に各材料はそれぞれの流動曲線に従って変形していくと考えられるため,45については変形が小さいため違いが見にくくなっていると考えられる.なお,45/0については,初期的に45の方が変形抵抗が小さいため,0の曲線との間で交差が見られた.■ ■図8■対称試験片の実応力-対数ひずみの関係■■図9には各対称試験片の2つの材料間の伸びの差を定量的に比較している.横軸には平均伸びを取り,縦軸にはそれぞれの材料の部分伸びを取っている.図9(a)に示した45/0では,平均伸びが10%になるまでは45における部分伸びは0とほぼ同様に増加していることがわかる.そこから45の伸びは急速に低下し,ほぼ0のみが伸びている様子が定量的に確認できた.図9(b)の90/45では初期段階から45の伸びは90の伸びに比べて小さく,平均伸びが5%になるとその違いが明らかである.ただし,最終的には45の伸びは45/0の場合と同程度であった.■0/90については,全体の伸びが25%になるまでは,0,90は同様に直線的に増加する傾向を示した.しかし,初期段階から90の伸びは0のものよりも大きく,最終的に90のみが伸びる状態となっていく様子がわかる.これらから,変形抵抗の違いは初期の伸びに大きく影響し,最終的にどちらでのみ伸びるかの違いを生じるといえる.■図9■対称試験片における両側素材の伸びの違い■表3に接合材を用いて評価して得られた平均的力学特性と材料個々の部分的力学特性をまとめている.まず,引張強さについては,三つの接合材でほぼ同じになっている.これは主に強度の低い0と90の性質が反映されたもので,素材のものよりやや低いがほぼ同じ大きさである.全伸びについては,45/0と90/45でほぼ同じ大きさであるが,素材のものよりも0.15~0.20低くなっている.0/90については.ほかの二つの場合より大きいが,それでも素材に比べて0.1程度小さい.F値およびn値は三つの条件でほぼ同じ大きさで,素材0および90のものとも同程度である.くびれて破断する場合に一様伸びがn値に一致することを考慮すると,くびれ後の伸び,すなわち局部伸びが著しく低下したものと考えられる.これは破断がビード部近傍の平面ひずみ引張りを受ける領域で生じたことと大きく関係していると考えられる.■表3■接合材の平均的および局部的力学特性■次に部分的な特性について見ると,F値とn値については接合材の両材料で平均的特性値と比べて,やや大きいものの,ほぼ同程度の大きさであることがわかる.一方,r値については,45は素材の値とほぼ同じであるが,0および90については素材に比べて大きく低下している.これは既に一軸引張状態ではなく,二軸引張状態となっていることを示唆している.■3・4■焼鈍し処理を施した対称試験片の形状変化■■これまでの結果から硬化した接合ビードが試験片の変形挙動に影響を与えることが確認できた.そこで,その影響を減らすため,対称試験片にビード部を軟化させる焼鈍し処理を行った.図10に接合まま材,H26相当材,H24相当材,H22相当材およびO相当材の一軸引張りによる形状変化を示す.図では横軸に試験片の幅を縦軸に測定位置を示すことによって形状変化を再現している.■まず,その接合まま材については,これまで説明したように,接合ビードの変形がほぼ見られず,破断前にビード部近傍の低変形抵抗の材料側にくびれが形成される様子がわかる.H26相当材,H24相当材およびH22相当材では接合まま材とは異なるほぼ同様の傾向を示していることが確認できる.まず,残念ながらビード部は焼鈍し処理によっても十分に軟化されず,ほぼ変形しない状況のままで■− 148 −

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