■ キーワード:高強度金型材料,熱クラック,ディスク・オン・ロッド試験 久性・耐磨耗性を向上させるために超硬合金の利用が普及しているが、さらに被加工品の表面性状の向上を目指し、より表面平滑度の高いサーメット、さらにはセラミックスの使用が推進あるいは検討されている。しかしながら、これらの材料は塑性変形能が低い本質的な脆性材料であり、耐熱衝撃性が低いことが弱点になっている。■■塑性加工中には、摩擦により金型が局所的に急加熱される場合や、加熱された金型の表面が潤滑油で急冷される場合に大きな熱応力が発生し、その繰り返しff熱疲労破壊■で熱クラックが発生することがある。また、押し出し金型を型枠に焼ばめで設置しようとした際に即時破断ff熱衝撃破壊■を生じる例も知られている。これらの問題を解決するためには、熱応力を十分に考慮した金型設計技術や耐熱衝撃性に優れた材料の開発が不可欠であり、熱クラックの発生および進展、すなわち熱衝撃ff疲労■破壊メカニズムの解明および評価法の確立がこれらの材料および金型等の信頼性を確保するためのキーテクノロジーといっても過言ではない。■■従来の熱衝撃破壊試験は、加熱した試験片を水中投下によって急冷し、その残留応力を測定する方法が用いられており、セラミックスの場合は■■■■■■■■■■「ファインセラミックスの熱衝撃試験方法」■に規格化され、サーメットにも利用されている。しかしながら、この試験では、評価できるのは臨界温度差のみであり、材料間の耐熱衝撃性の相対的な比較しかできない、などの問題点が指摘されている。熱衝撃破壊は、局所的な急冷や急加熱に起因する熱流束によって形成される温度場によって生じる遷移的な熱応力の下で、ミクロ損傷が発生・蓄積して巨視き裂ff熱クラック■が生成される現象であり、熱衝撃の際の熱応力の評価、およびき裂の発生・進展などの破壊過程の評価、の つを同時に行うことが不可欠である。■■そこで本研究では、高強度金型における熱クラック発生防止技術の開発を目的とし、高強度金型に用いられる超硬合金、サーメットおよびセラミックスの熱クラック発生および進展挙動の評価手法の開発を行った。特に、本研究では、最も脆性的な破壊挙動を示すセラミックスを研究対象とした。後述のような著者らが開発したディスク・オン・ロッド試験を利用して、予き裂を含む試験片に種々の熱応力比の熱衝撃を与え、様々な破壊モードff開口■せん断の混合モード■下での熱クラック進展挙動を評価した。■1.研究の目的と背景■■加工の高速化、高応力化に伴い、金型や切削工具等の耐東京都立大学■システムデザイン学部■機械システム工学科■( ■■■年度■一般研究開発助成■■■■ ■■■■ ■■■■)■教授■若山■修一■2.実験方法■■ ■■■試験片■■試験片には代表的なエンジニアリングセラミックスであるアルミナセラミックスを用いた。 ■試験片原料はアルミナ粉末として大明化学工業(株)製タイミクロンTM-DARを使用し、一軸圧縮、冷間等方加圧(Cold Isostatic Press, CIP)により成形体を製作した。そして成形体を楕円形状に加工後、高温大気炉にて昇温速度5 ℃/min.で焼結温度1,500 ℃まで加熱し2時間保持して焼結体を得た。その後、試験片の中心部に予き裂の発生起点としてビッカース圧痕を導入し、ブリッジインデンテーション法により予き裂を導入した。予き裂導入後、試験片表面を 0.3 mm 研削し、残留応力を除去した。予き裂と長軸の角度を変化させることにより、き裂先端のモード比を変化させた。また試験片内の水分による応力腐食割れによる強度低下を考慮し真空中で150 ℃、2時間保持で乾燥した。 ■作製後に測定した試験片の見掛け密度、かさ密度および開気孔率はそれぞれ3.96 g/cm3、3.95 g/cm3および0.26 %であった。開気孔率は1%未満であり十分ち密な試験片が得られた。また試験片の平均粒径は4.55 μmであった。 ■ ■ ■ディスク・オン・ロッド試験■■前述のように、熱クラック発生挙動を理解するには、推移する熱応力場と、その下でのミクロ損傷の発生進展によって生じる熱クラックの発生過程の両方を同時に評価する必要がある。著者らは新たな熱衝撃破壊試験方法としてディスク・オン・ロッドff■■■■■■■■■■■■試験法を開発してきたff■■■■。図1にディスク・オン・ロッド試験の概要を示す。本試験では、予加熱したディスク状薄板試験片に低温に保持した金属ロッドを接触させ中央部のみを冷却することにより2軸引張熱応力を発生させて熱衝撃を与える。その際、金属ロッド下部に■■センサを取付け、金属ロッドを冷却媒体及び導波棒として用いることにより、■■センサを熱から保護すると同時に微視割れなどの損傷に伴う■■信号を検出し微視破壊過程を評価することが可能である。また、試験中の試験片表面の温度分布を赤外線カメラでモニタリングし、有限要素解析によって熱応力場の時間履歴を計測している。なお、試験片の板厚は直径に比べて十分小さいため、板厚方向の応力は無視でき、平面応力としての取り扱いが可能である。■− 137 −高強度金型の熱クラックを抑止する設計指針に関する研究■
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