天田財団_助成研究成果報告書2023_2
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4. 結論 3) T. Tanaka, T. Morishige, T. Hirata, Scripta Mater. 謝 辞 参考文献 て引張強度に及ぼす影響は小さいが、 が70°もしくは80°では、未処理材よりも引張強度が約1.3倍高くなっていることがわかる。一方、ニッケルめっき鋼の接合材に着目すると、すべての突起形状において最大の引張強度を示しており、特に形状⑦において、最大引張強度125 MPaを示した。これは、未処理材の1.5倍、アルミニウム母材強度の約63 %に相当する。ニッケルめっき鋼と銀めっき鋼の接合材で、引張強度の差が現れた要因としては、接合界面に生成するIMCの種類や厚さ、金属拡散反応のしやすさなどが考えられる。今後、めっきの種類や金属拡散反応のしやすさに着目した研究開発を行うことにより、本接合技術による異種金属接合材の更なる高強度化が期待できる。 本研究では、数百mの突起および摩擦攪拌接合を利用した鉄鋼とアルミニウム合金の接合に着目し、接合強度を最大化するための突起形状および接合手法を調査した。鉄鋼の接合面に逆円錐台の突起を配列した構造に注目し、鉄鋼とアルミニウムの接合材において、接合面垂直方向応力に及ぼす突起の間隔や錐台の傾斜角度の影響を数値解析で求めるとともに、その突起形状を付加製造法で作製し、FSWによって接合した試験片を引張試験に供することで、数値解析との比較を行った。実験によって求めた引張強度は、数値計算の値よりも低くなったが、突起形状と引張強度との相関性はほぼ一致しており、数値解析が突起形状設計に活用できることが確認できた。また、付加製造のままでFSWした接合材では、金属拡散反応が起こらず、鉄とアルミニウムが材質的に接合されていないため、引張強度は突起によるアンカー効果のみに依存することがわかった。そこで、金属めっきに着目し、FSW時のツールにより接合面を切削することなく、鉄とアルミニウムの金属拡散反応を促進させるめっきの種類を調査したところ、銀とニッケルめっきによって、材質的接合がなされることを見出した。この知見を活かし、めっきした突起を設けた接合材で引張試験を行ったところ、引張強度は未処理材に比べて、銀めっきでは1.3倍、ニッケルめっきでは1.5倍、改善させることに成功した。今後、めっきや突起形状のさらなる最適化により、より高強度な異種金属接合材の作製が期待できる。 本研究は、公益財団法人天田財団2019年度一般研究開発助成(AF-2019013-B2)により実施したものであり、ここに感謝の意を表します。 1) 森田泰、藤田幾雄、溶接技術 11 (1974) 20-26. 2) 福本昌宏、椿正己、下田陽一朗、安井利明、溶接学会論文集 22、2 (2004) 309-314. 図10 Agめっきを施した鉄鋼とアルミニウムの接合材断面の接合界面近傍におけるEDS分析結果 図11 Niめっきを施した鉄鋼とアルミニウムの接合材断面の接合界面近傍におけるEDS分析結果 図12 AgおよびNiめっき施した鉄鋼とアルミニウム61-7 (2009) 756-759. 4) 田中努、根津将之、内田壮平、平田智丈、軽金属 70、11 (2020) 503-509. の接合材における引張試験結果 − 106 −

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