1.はじめに2.レーザ入射角度評価キーワード:太陽電池,微細構造,高品位レーザ加工単結晶Si太陽電池は反射率の低減のために1〜10 µm程度のピラミッド構造が表面付与され,太陽光波長500 nmの反射率が10 %程度に改善されている.さらに反射率の低減を目指すために,ピラミッド構造表面に1µm以下のナノ微細構造を形成させたダブルテクスチャー構造にした太陽電池の研究が注目されている.しかし,製造時間や加工領域(大面積加工)の課題がある.また,従来のフォトリソグラフィよりも安価な高品位レーザ加工が有望視されている(1).パルスレーザを用いた高品位レーザ加工(レーザ微細加工)は固体の熱緩和時間(数ピコ秒程度)に比べてパルス幅が短く,非熱的に加工可能なフェムト秒レーザに関する報告が近年の報告の中で多くの割合を占めている.しかしながら,固体の熱緩和時間に比べてパルス幅が長いナノ秒レーザにおいても,エキシマレーザのような紫外域で発振する短波長レーザを用いて照射条件を調整すれば,アブレーションの熱影響を低減することが可能である.一般的に,ナノ秒レーザやフェムト秒レーザによる微細加工でナノ周期構造などの微細構造を形成させた報告はあるが,マイクロメートルオーダーの構造表面にさらにナノ微細構造を形成させた報告例は皆無である.これゆえ,ナノ秒レーザやフェムト秒レーザを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面に加工した論文報告はない(2).太陽電池のピラミッド構造表面に,大気中において高品位レーザ加工(レーザ微細加工)を施すことができれば,高速で大面積低減の加工が実現できる.本研究の目的は,パルスレーザを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面にナノ微細構造を形成させ,結晶性を保持しつつ反射率の低減を図ることである.本研究では,パルスレーザにより微細構造を形成させるために重要なパラメータのアブレーション閾値に着目し,まず, その測定を行った.測定したアブレーション閾値を基にシリコン太陽電池表面に微細構造形成を行い,表面形状のレーザ照射パラメータ(フルエンス,パルス数,波長,パルス幅など)依存性を調べた.また,微細構造を形成させた太陽電池の結晶構造はラマン分光法で評価し,反射特性は反射スペクトルもしくは表面形状をから評価した.シリコン太陽電池表面はピラミッド構造が施されているため,太陽電池基板に垂直にレーザ照射してもピラミッ東海大学総合科学技術研究所(2018年度重点研究開発助成課題研究AF-2018203-A3)特任教授橋田昌樹3.ナノ秒レーザによる微細構造図1Si太陽電池表面のピラミッド構造と正四角錐図2Si及びSi太陽電池に対するレーザ入射角度ド構造に対して入射角度が生じる.ここでは,ピラミッド構造の斜面の角度を算出することでレーザ入射角度の評価を行った.図1(a)(b)はそれぞれシリコン太陽電池表面のピラミッド構造及び正四角錐を示す.図2(a)(b)はそれぞれシリコン及びシリコン太陽電池に対するレーザ入射角度を表している.ピラミッド構造を正四角錐と仮定した場合,正四角錐の斜面の角度は,図1(a)に示すq1とq2の間になる.三平方の定理よりq1=45°とq2=54°になり,ピラミッド構造の斜面の角度は45〜54°の間にある.従って,シリコン太陽電池に対してレーザ入射角度は図2(b)のように36〜45°となる. 3.1微細構造形成実験図3にはナノ秒レーザによるアブレーション閾値及び微細周期構造形成実験の配置図を示す.実験では発振波長308 nm,レーザパルス幅20.6 ns,繰り返し周波数10 HzのXeClエキシマレーザ(COMPex102,LambdaPhysik)を用いた.XeClエキシマレーザの光路を青線,アライメント用He-Neレーザの光路を赤線で示す.XeClエキシマレーザから発振されたパルスはアパーチャー(5 mmφ)で切り取られた後,偏光プリズムと半波長板で構成されたエネルギー減衰器でエネルギーを1〜1/200程度の範囲で変化させ,照射フルエンスを制御した.エネルギー減衰器通過後のレーザは直線偏光となる.その後,焦点距離1000 mmの凸レン− 93 −太陽電池性能向上を目指した高品位レーザ加工による表面構造付与
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