図16 Life debit 1) 2) ■Life debitは、■■■℃熱処理材で大きく、■■■■℃熱処理材で小さい傾向を示した。これまでに示したように、■■■℃熱処理材では、■■■■℃熱処理材よりも等軸α相量が増加していることが、Dwell疲労特性の劣化に影響していることを示唆している。その上で、等軸α相以外の組織がbi-modal組織では層状組織、β相球状化組織では層状組織が分断された球状化組織であり、900℃熱処理材のこれらの組織形態の違いがDwell fatigueに与える影響についてはより詳細な検討が必要である。■謝■辞■参考文献 以上の結果から、鍛造、熱処理プロセスの違いによる組織形態の違いがDwell疲労特性に与えるメカニズムについてはまだ検討の余地はあるが、通常疲労とDwell疲労寿命の差を縮める鍛造・熱処理プロセスおよび組織形態については明らかにすることができた。 ■■■■結論■1. 25t鍛造シミュレータと1500t鍛造シミュレータを用いて、得られる鍛造組織の違いを明らかにした。これらの鍛造シミュレータによる組織形成の違いは、試料サイズの違いから来る冷却速度の違いである。1500t鍛造シミュレータでは冷却速度が遅いために、鍛造中に導入された歪みが冷却中に緩和する現象が起こる。 2. 1000℃熱処理により、25t鍛造材と1500t鍛造材どちらについても、鍛造条件に関わらずbi-modal組織が形成された。一方、900℃熱処理では、25t鍛造材は鍛造温度が900から1000℃まで全てにおいてβ相球状化組織となったが、1500t鍛造材では、1000℃鍛造材ではbi-modal組織を形成し、940℃鍛造材ではβ相球状化組織となった。これらの違いも鍛造後の冷却速度の違いによる残留歪みの差により引き起こされる。 3. 引張強度は、β相球状化組織がbi-modal組織よりも高い強度を示した。また、bi-modal組織の比較では、900℃熱処理材の強度が高く、これは残留歪み量によるものである。 4. 通常疲労寿命は鍛造・熱処理プロセス、それにより得られる組織形態の違いによらず、ほぼ同程度であった。一方、Dwell 疲労については、鍛造・熱処理プロセス、組織形態の違いにより寿命が大きく変化した。通常疲労とDwell疲労の寿命比であるLife debitを小さくするためには、鍛造温度や歪み条件よりも、熱処理温度がより影響を与え、1000℃での熱処理によるbi-modal組織形成が効果的である。 5. 今後の展望:今回の研究ではmicrotexture形成過程を明らかにしたかったが、明確なmicrotexture形成を観察できなかった。また、組織の場所依存性が大きいため、今回観察した領域よりも広い領域で観察を行い、microtextureの形成の有無を確認する必要がある。また、疲労試験後の破J. Qiu et al., Metall. Mater. Trans. A, 45A, (2014) 6075. https://www.timet.com/assets/local/documents/datasheets/alphaalloys/834.pdf 断部近傍の組織解析を詳細に行い、同じ組織形態に見えるbi-modal組織でDwell疲労特性が大きく異なるメカニズムを明らかにする必要がある。今回の結果から、鍛造条件よりも熱処理温度がより疲労特性に影響を与えることから、熱処理温度を変化させた組織に対する疲労特性の影響を明らかにすることにより、Dwell疲労特性を向上させるTi合金のプロセス設計指針を明らかにすることができる。 本研究は物質・材料研究機構(NIMS)の1500t鍛造シミュレータを用いて行った。鍛造実験に協力いただいたNIMS黒田秀治氏、本橋功会氏に感謝する。また、塑性加工シミュレーションはSCSK株式会社星雅人氏の協力を得て、NIMS本橋氏が行った。これについても謝意を示す。 最後に、2年間に渡り、本研究に助成してくださった天田財団に深い感謝を表明する。1500t鍛造には大きな素材が必要であり、その作製や、試験片切断などにラボレベルの実験とは比べ物にならない費用がかかった。また、Dwell疲労試験は時間がかかり、1つの試験に1ヶ月程度かかることもあることから、外注では実験を行うことができなかった。助成金で疲労試験を確保でき、研究促進に大いに役立った。さまざまな意味で、この研究は、本助成金がなければなし得なかったものであり、深い感謝を示したい。 − 82 −
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