図10 鍛造熱処理材の方位マップ 図12 鍛造・熱処理材の引張強度 図11 [0001]方向から10°以内に存在する結晶粒の比率 図10では(0001)面が多数あるように見えたが、図11に示すように、(0001)面の存在は、鍛造・熱処理条件によらず10%以下であり、(0001)面が揃った集合組織を作っているとは言えなかった。また、(0001)面の生成率はランダムであり、これらの数値の違いは、鍛造・熱処理条件による図8, 9に示すように900℃熱処理材の組織は、鍛造温度により異なる。1000℃鍛造材ではbi-modal組織を形成し、940℃鍛造材では層状組織内のβ相球状化組織を形成した。一方、1000℃熱処理材では、鍛造温度によらず、bi-modal組織を形成した。これらの組織形態を図11に示すと、β相球状化組織がbi-modal組織よりも強度が高いことが明らかとなった。低い鍛造温度で導入された歪みは、加工発熱によりある程度緩和されるが、完全ではなく、900℃熱処理では歪み緩和が起こりにくいために、熱処理材にも歪みが残留すると考図9 940℃鍛造材の熱処理組織 ■・■■■■■■■■■■■■■■の解析■■熱処理によりhcp構造の(0001)面がそろった領域であるmicrotextureが生成しているか、明らかにするために、SEM-EBSDを用いて方位解析を行った。図10に示すように、赤で示した領域が(0001)面を示す。これを定量的に示すために、[0001]方向から10°以内に存在する結晶粒の面積率を測定した。その結果を図11に示す。 ものではなく、試験片の場所による違いであることが示唆された。実際に、1つの試料について広い領域で観察を行うと、場所による結晶方位の差が大きく、microtextureの生成を確認するためには、さらに広い領域における観察が必要であることが示唆された。 ■・■■■■■■■鍛造シミュレータ鍛造・熱処理材の引張強度■図8, 9に示す組織を有する鍛造・熱処理材について、室温で引張試験を行った。鍛造歪み速度に対する0.2%耐力を図12に示す。強度は鍛造歪み速度に対しては依存性が観察されなかった。顕著な差が観察されたのは、熱処理温度である。900℃熱処理材は、1000℃熱処理材よりも高い強度を示した。900℃熱処理材で比較すると、鍛造温度が940℃で高い強度を示した。一方、1000℃熱処理材では鍛造温度の違いによる強度の差はほとんどなかった。 えられる。強度はベイリーハーシュの関係により、転位密度に依存するため、β相球状化組織で強度が高かったと考えられる。900℃熱処理であっても、1000℃鍛造では鍛造中に歪みが緩和しているため、強度が低くなる。同様に考えると、1000℃熱処理では歪み緩和が進むため、同じbi-modal組織でも、900℃熱処理材よりも強度が低くなる。また、1000℃熱処理材で、鍛造温度による違いが見られなかったのも、1000℃熱処理で歪みが大きく緩和したためであることがわかる。 − 80 −
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