助成研究成果報告書Vol.35
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図6 塑性加工シミュレーションによる温度分布 図8 1000℃鍛造材の熱処理組織 図9に940℃鍛造材の熱処理組織を示す。940℃鍛造材は層状組織が分断された組織を示しており、900℃で熱処理を施すと、歪み速度によらず、分断されたβ相球状化組織を形成した(図9(a), (c))。一方、1000℃で熱処理を施すと、歪み速度によらずbi-modal組織に変化した。この変化は25t鍛造シミュレータで得られた結果と同じであった 図7(a)に示すように鍛造温度によらず加工発熱が観察された。加工発熱量は鍛造温度が低い940℃でより顕著であり、歪み速度が速い0.5/sで顕著であった。940℃0.5/s鍛造では70℃の発熱が発生した。1000℃0/5/sでは1056℃まで温度が上昇しており、TIMETAL834のβ変態温度が1045℃であることから2)、場所によってはβ変態温度を超える温度で鍛造していたことになる。一方、図7(b)に示すように、計算された平均的な歪み量は鍛造条件によって大きな変化は見られなかった。 図5 鍛造材の歪み分布 図7 塑性加工シミュレーションにより計算された1/2R鍛造材に導入された歪みを調べるために、SEM-EBSDを用いて結晶方位の角度差(KAM)を測定した。試験片を採取する1/2R近傍のKAM値(misorientation angle)を図5に示す。1000℃鍛造材では歪み速度が遅いほどKAM値が小さい領域が多く、歪み緩和が進行している。これは歪み速度が遅いことにより高温に晒される時間が長いためである。一方、940℃鍛造材では、逆の傾向を示し、歪み速度が遅いほど、より大きなKAM値の領域が大きく、歪み速度が遅い鍛造材により大きな歪みが導入されていた。 塑性加工シミュレーションにより、鍛造中の温度分布と歪み分布を計算した。図6に940℃0.5 /s鍛造材について計算した結果を示す。鍛造材中央に加工発熱が観察された。疲労試験に用いる1/2R近傍の温度と相当歪みを読み取り、プロットした図面を図7に示す。 組織観察により得られた歪み分布と比較すると、940℃鍛造では、歪み速度が速い場合に大きな加工発熱が起こるために、歪み緩和がより大きくなったと考えられる。1000℃鍛造では、1000℃が歪み緩和に対して十分な温度であったために、加工発熱の大小に関わらず、歪み速度が遅い場合により長時間高温に晒されることから歪み緩和が大きく生じたと考えられる。 ■・■■■■■■■鍛造シミュレータ鍛造・熱処理材の組織■次に鍛造材を900℃および1000℃で熱処理した時の組織を図8, 9に示す。1000℃鍛造材の組織はbi-modal組織であり、これを900, 1000℃で熱処理してもbi-modal組織となった。熱処理温度や鍛造中の歪み速度による違いは見られなかった。25t鍛造シミュレータによる鍛造・熱処理材の組織と比較すると(図3)、25t鍛造シミュレータでは、1000℃鍛造後900℃熱処理では、β相球状化組織が形成した。この違いは、1500t鍛造シミュレータでは冷却速度が遅いことから、鍛造中に導入された歪みが、緩和されていることを示す。 位置の鍛造終了後の(a)温度と(b)歪み − 79 −

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