図3 25t鍛造シミュレータで鍛造後熱処理した組織 図4 1500t鍛造シミュレータによる鍛造組織 ■図2 25t鍛造シミュレータによる鍛造組織 観察試料取得後、左右に残った1/2の鍛造材に対し、それぞれ900℃2hあるいは1000℃2h熱処理を施し、空冷した。 ・■■組織観察および力学試験 1500t鍛造・熱処理材について、半径の1/2の位置(1/2R)近傍から14x14x90 mmの試験片を切り出し、この試験片からさらに、直径6 mm、標点距離30mmの丸棒疲労試験片、引張試験片を作成した。またこの近傍から組織観察用に5mm幅の板を切り出した。鍛造中央、1/2R位置、円板端部の3ヶ所の組織観察をおこなった。組織観察には後方散乱電子解説(EBSD)を搭載した走査電子顕微鏡(SEM, JEOL JSM7200F)を用いた。加速電圧は20kVを用いた。 引張試験は、耐力まで10MPa/sec、耐力以降は破断まで20%/minの速度でおこなった。疲労試験は通常疲労と台形波のDwell疲労試験の2種類を行った。通常疲労試験は、0.2%耐力()の0.9を最大応力とし、R=0.1、5Hzの条件で破断まで試験を行った。Dwell疲労は0.9 を最大応力とし、R=0.1、最大応力保持時間を120s, 0.09 から0.9 を1sで変化させる台形波を用いて試験を行った。 3.結果と考察 ■・■■ ■■鍛造シミュレータ鍛造材の組織■図2に25t鍛造後の組織をいくつか示す。900℃における鍛造では、初期組織であるbi-modal組織が変形し、特に、層状組織部分はβ相が引きちぎられ、細かく分断されていた(図2 (c), (d))。1000℃でも同様の組織が観察されたが、分断されたβ相が鍛造中に球状化し(図2(a), (b))、特に歪み速度が0.005/sの時は、明確であった(図2(a))。900℃鍛造では球状化は明確ではなく、鍛造中のβ相の球状化は高温でのみ促進されることがわかった。 ■・ ■ ■■鍛造シミュレータ鍛造材の熱処理後の組織■■図3に異なる鍛造条件の試料に対して、900℃および1000℃で熱処理をした組織を示す。図3(a), (b)に示すように、1000℃鍛造後に1000℃で熱処理を行うと、元のbi-modal組織に戻った。図には示していないが、900℃鍛造でも同様であった。一方、900℃熱処理では、図3 (c)〜(f)に示すように、分断されたβ相が、さらに粗大化し球状化した。粗大化は940℃で速い速度(0.5 /s)で鍛造後に900℃熱処理した場合に、加速した。これは低い温度で速い速度で加工したことにより、導入された歪み量が多いため、β相の静的再結晶が加速したためである。 ■・■■■■■■■鍛造シミュレータ鍛造材の組織■次に1500t鍛造シミュレータで鍛造した組織を図4に示す。歪み速度で大きな違いはなかったため、歪み速度0.5/sに対して、鍛造温度の違いについてのみ示す。鍛造温度が1000℃の時は、初期組織とほぼ変わらずbi-modal組織を示した(図4(a))。25t鍛造材と異なる組織であるが、これは、1500t鍛造では試料サイズが大きく、冷却速度が遅いために、鍛造後も1000℃近い温度が保たれ、鍛造中に導入された歪みが緩和してbi-modal組織を形成したと考えられる。一方、940℃における鍛造では、層状組織が分断された組織を形成した(図4(b))。しかし25t鍛造材と比較すると、変形した組織ではなく、むしろ図3(e)に示すような組織と近く、鍛造中に大きな変形を受けるものの、冷却速度が遅いことから900℃近傍に一定時間晒され、分断された組織が粗大化した。 − 78 −
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