助成研究成果報告書Vol.35
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図1 TIMETAL 834の初期組織 キーワード:■■■■■■■■■■■■,疲労,■■■■ 1.研究の目的と背景 するため)の鍛造・熱処理プロセスを確立する。 2.実験方法  ・■■実験試料■TIMET社のTIMETAL834 (Ti-5.8Al-4Sn-3.5Zr-0.7Nb-0.5Mo-0.35Si-0.06C, wt%)を購入した。試料サイズは300mmφx 300mmLの円柱形である。供試材の初期組織は図1に示す通りである。等軸状のα相と白いコントラストで示されるbcc構造のβ相とα相の2相層状組織で構成されるbi-modal組織を形成していた。  ・ ■鍛造条件 ここから、8mmφx 12mmLおよび100mmφx 100mmLの円柱形の試料を切り出した。8mmφx 12mmLについては、25t鍛造シミュレータ(富士電波工機、Thermec Master)を用い、α+β温度域である900, 940, 970, 1000 ℃でそれぞれ歪み速度0.005, 0.05, 0.5/s、圧縮率75%で試験を行った。ここで、高周波誘導加熱で加熱し、冷却は水素ガス噴射による急冷を行った。また、100mmφx 100mmL試験片を用いて、物質・材料研究機構に設置されている1500t鍛造シミュレータにより、鍛造温度940および1000℃において、歪み速度0.005, 0.05, 0.5/sで圧縮率70%の恒温鍛造試験を行った。鍛造後は空冷により冷却を行なった。  ・■■熱処理条件 25t鍛造材および1500t鍛造材について900℃2hあるいは1000℃2hの熱処理を行った。1500t鍛造材のサイズはおよそ150mmφ x 30 mm Lの円板になった。ここから鍛造材組織観察用に、直径方向に5 mm幅の板を切断した。組織持続安定な社会を構築するために、温暖ガス排出量削減、化石燃料消費量削減が求められており、航空機ジェットエンジンの熱効率向上が厳しく求められている。エンジンの熱効率をあげるためには、エンジンに使用されている材料の耐熱性向上と軽量化を両立することが必要である。そのため、ジェットエンジン圧縮機にはTi合金が使われているが、特に高圧圧縮機の温度は600℃を超えている。一方、Ti合金の耐熱温度は550℃程度であり、550℃以上ではより耐熱性の高いNi基超合金を使う必要がある。しかしNi基超合金の比重はTi合金の2倍であり、小型のエンジンではエンジン重量増加により燃費が低下してしまう。現在、圧縮機部材にはTi合金をギリギリの軽量化設計で用いているが、近年、Ti合金部材の疲労破壊が原因とされるエンジントラブルが少なからず発生(例えば2018年夏ANAの大量欠航、FAAの耐空性改善命令)している。そこで、安全・信頼性を飛躍的に向上させ、かつ熱効率を上げるためには、Ti合金の耐熱性と安全性を向上させることが喫緊の課題である。 上記に示すようにTi合金の疲労は、航空機の安全性に深刻な問題を引き起こす。通常、ひずみや応力を周期的に変化させることによる材料の劣化を疲労(fatigue)というが、最大ひずみや最大応力をある時間一定に保持することによる劣化をDwell 疲労という。Ti合金部材製造中にhcp構造であるα相の集合組織が局所的に分布するmicrotextureという組織が形成されると、通常疲労と比べてdwell 疲労の特性が劇的に劣化することが知られている1)。すなわち、同じ負荷応力で比較すると、microtextureを生成する合金はdwell疲労の寿命が通常の疲労寿命より短くなる。これは耐熱材料によく使われるα+β2相Ti合金でよく起こる現象であり、microtextureをどのように制御するかが重要な課題である。 そこで、本研究では、最も耐熱性の高い耐熱Ti合金であるTIMETAL 834合金に着目し、恒温鍛造が可能な1500t鍛造シミュレータを用いて鍛造・熱処理組織の形成過程を調べた。 次に、異なる組織を有する試料を用いて疲労、Dwell疲労の評価を行い、異なる組織が疲労寿命に与える影響について明らかにする。これらの結果から、疲労に優れた組織を明らかにし、この組織を得るため(microtextureを抑制東京大学■新領域創成科学研究科■( ■■■年度■重点研究開発助成■課題研究■■■■ ■■■■■■■■ ) 教授■御手洗■容子■− 77 −■■■■■鍛造シミュレータにより組織制御した■■合金の■破壊機構解明と特性バランスを有する鍛造プロセス確立■

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